道、大飯原発にらみ再開探る 泊が止まる日(中)

2012/5/2 6:03
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北海道電力の泊原子力発電所3号機(泊村)が5月5日に停止した後、焦点となるのが1、2号機の再稼働問題だ。道は政府から泊再稼働の地元同意を9月にも求められると想定。政府が再稼働"第1号"として手続きを進める関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の行方を注視しながら、対応策を練っている。

泊原発再稼働を巡って、高橋はるみ道知事の発言が煮え切らない。4月27日の記者会見でも「道として再稼働を議論する段階ではない」と話すにとどめた。大飯原発の再稼働で政府内のごたごたが続いていることもあり「知事は意図的に発言を控えている」(知事周辺)という。

黙して語らずの知事だが、昨年ぎくしゃくした道議会と北電との関係修復を急いでほしいところ。その必要性は北電も感じ取っており水面下で動き出した。

■道議に説明強化

「燃料コストがかさみ、720億円の最終赤字となりました」。北電が2012年3月期連結決算を発表した4月27日。閉会して静まりかえった道議会内を、決算資料を抱えて自民党道議への説明に走る北電社員の姿があった。自民党関係者によると、これまで決算発表時の道議会への対応は資料配布程度だった。「北電として少しでも真摯な姿勢をみせるのが狙いだろう」(自民党幹部)

地元同意を表明する主体は道だが、道議会の了承抜きに決断できない。昨年夏に騒ぎとなった原発関連のシンポジウムでのやらせ疑惑では、佐藤佳孝会長(当時社長)が道議会からの参考人招致を当初拒否。情報開示に消極的な姿勢をとり、道議会との関係に亀裂が入った。

道議らの話を総合すると、こうした北電の路線が変わったのは、今年3月末に佐藤氏の後任として、川合克彦副社長が社長に昇格してから。「道民への説明が足りなかった」。川合社長は自民党の有力議員に説明して回るようになった。

地元同意のタイミングを巡って道は当初6月の第2回定例議会になると考えていたが、原子力規制庁の設置の遅れや大飯を巡る混乱を受け、9月の第3回定例議会に先延ばしした。

原子力規制庁は、経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力委員会が統合して誕生する予定。設置時期は当初4月とされたが、規制庁関連法案の審議入りのめどさえたっていない。政府は大飯以外のストレステスト(耐性調査)の審査を規制庁に引き継ぐ方針だったため、保安院による泊原発のストレステスト審査は止まっている。

道が想定するシナリオはこうだ。関連法案の成立が6月の通常国会の会期末まで遅れた場合「7~8月にかけて規制庁が結論」。そして「8~9月に政府が泊再稼働を判断」という流れになる。泊原発の周辺自治体の意見を踏まえ、道が一定の方向性を道議会に提示し、道議会に諮るという青写真を描く。

■周辺の範囲カギ

道はこの間、泊原発の周辺自治体の範囲をどこまで広げるかも判断しなければならない。北電と情報開示や安全確保策などの安全協定を結んでいるのは、半径10キロメートル圏の4町村(泊村、神恵内村、共和町、岩内町)。

これに対してその周辺自治体は、政府が拡大方針を示した防災対策重点地域にあわせて半径30キロメートル(13町村)にすることや、後志管内全域(20市町村)まで広げることなどを求めている。札幌市の上田文雄市長のように「求める自治体がすべて参加できるようにするべき」と発言する首長もいる。

ただ道側は「範囲拡大は調整に時間がかかることにもなるため、やみくもに拡大はできない」(道幹部)と慎重な立場だ。並行して福井県の例を参考に、泊原発の安全性を独自に議論する専門家委員会の設置を検討。ある道議は「国や北電だけでなく、道としても判断を正当化する機関が必要だ」と説明する。

こうした一連の手続きを経て、知事が国に同意の可否を回答する見通しだ。道内では冬場に電力需要がピークを迎えることもあり、道や経済界にはその前に再稼働問題にけりをつけるべきだとの意見もある。

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