2019年8月25日(日)

「民活」夕張再生担う 新計画始動から3カ月

2010/6/26付
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北海道夕張市の財政再生計画がスタートして約3カ月。市は国の管理下で予算も自由に組めない状況にあるが、ここにきて、民間の力で街のにぎわいを取り戻そうという動きも出てきた。ただ、医療や教育など基本的な行政サービスは住民が満足できるレベルにはなく、再生への道のりは容易ではない。

「予約した宴会はもう入れるかな」。6月下旬の平日の夕暮れ、JR夕張駅と隣り合う「ゆうばり屋台村」(通称・バリー屋台)の赤ちょうちんに仕事帰りのサラリーマンや観光客が集う。ジンギスカンなど6店舗が軒を連ね、午後7時ごろには共同テーブルが満席となった。

ログハウスメーカーのトベックス(小樽市、戸部勇司社長)が土地を買って建設し、テナントを集めて昨年9月にオープンした。市内で分譲事業を手掛ける戸部社長は「人が集まる場所が少なく、活気を取り戻したいと思った」と話す。昼は観光客、夜は地元客を中心ににぎわい、多い日は約500人が訪れる。

「村民会」を設立

4月にはテナント同士で「村民会」を設立。1周年を前に7月から募金を集め、市庁舎近くで観光客の通り道となっている「思い出橋」のさびついた手すりを補修する計画だ。1口2000円をインターネット経由で集め、募金者の名前を橋に刻む。屋台村の橋場英和村長は「なじみの地元客も増えてきた。街のにぎわいを取り戻すことで夕張を少しでも盛り上げたい」と話す。

財政再建中の夕張市の人口は1万1128人(5月末時点)で、炭鉱ブームに沸いたピーク時の1割弱。65歳以上の高齢化率は44.37%(同)と全国一高い。活性化には若い世代を増やすことが必要だ。だが公営住宅は風呂無しの古い物件も多いほか、所得や世帯の制限で若年層が入りづらく、市外への流出の悩みを抱える。

財政再生計画では老朽化した市営住宅の建て替えや集約を進める事業が含まれているが、「マスタープラン策定もまだで、具体的な話は全くみえない」(市議)状況だ。

「ニーズはある」

そこで市は中心部のJR南清水沢駅近くの約2800平方メートルの市有地について、集合住宅の建設・運営を条件に無償譲渡先を公募。2週間程度の募集期間にもかかわらず、民間から2件の応募があった。事業者に選ばれた特定非営利活動法人(NPO法人)のPFI日本公共投資事業団と福岡県の不動産会社が共同で、年内にも40戸規模の集合住宅を建てる計画だ。同事業団の角森隆夫北海道支部長は「市の需要想定は約30戸だったが、40戸程度のニーズはある」と自信を見せる。

従業員約200人を抱えるシチズン夕張は「社員寮の空きは少なく、新卒採用者の住宅を見つけることに苦労している」(総務課)と住宅整備を歓迎する。11月にはツムラの生薬加工・保管工場も完成する予定。夕張商工会議所の小網敏男専務理事は「人がいないとすべての業種が落ち込む」とし、民間による地域の活性化に期待する。

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