道内で自給自足へ生物資源活用 エネルギーを問う(3)

2012/4/24付
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道内で再生可能エネルギーの地産地消を目指す取り組みが広がってきた。バイオマス(生物資源)を使ってエネルギーを生成、企業サービスや自治体施設などで活用するほか、売電して得た収入を自治体政策に役立てようとしている。エネルギーの自給自足を模索する動きもあり、眠る資源の有効活用が進む。

バイオマスプラントを点検する鹿追町の職員(鹿追町)

鹿追町のバイオマスプラントの管理事務所。燃料である乳牛の排せつ物を発酵施設へ送るポンプの故障を示す黄色いランプが点灯した。「この部分に不具合が生じているようだ」。鹿追町エネルギー開発担当の城石賢一氏は稼働状況をチェックし、不具合部分の復旧作業を急いだ。

鹿追町は十勝平野の一角に発電施設を建設し、家畜の排せつ物を使ってバイオマスエネルギーを生成している。出力200キロワットと100キロワットの2台の発電機があり、年間200万キロワット時を発電。生成する電力量は町の20%世帯の使用量に相当する。

排せつ物で発電

エネルギーの原料となるのは約1万9000頭の乳牛の排せつ物。鹿追町の主力産業は酪農で、乳牛の排せつ物は年30万トンに上る。酪農家と協力し、排せつ物の15%を発電施設に集め、発生するメタンガスを燃やし発電している。城石氏は「目指す町の姿はエネルギーの地産地消」と話す。

バイオマスを使った発電は気象に左右されないため、安定して活用できる。道内には家畜の排せつ物や木くずの埋蔵量が多く可能性が高い。政府の試算によると、道内のバイオマス(家畜排せつ物と木質)を使った潜在的なエネルギー量は、全国最多の3833万ギガジュール(原油換算で約100万キロリットル)に及ぶ。一方でその数%しか利用されていないという現実がある。道内の消費エネルギー全体からみれば約0.2%にすぎず"眠る資源"の有効活用が求められている。

札幌市中心部の地下に網目状に張り巡らされた導管には、札幌市周辺で集めた木くずを燃やして作った高温水が流れる。エネルギーを地産地消する取り組みで、中心部のビルは高温水を使い、給湯器や暖房などに活用する。

木くずを熱源に

高温水の供給元は札幌駅の北東にある北海道熱供給公社(札幌市)の中央エネルギーセンター。ボイラーで燃やした木くずで、年間20万ギガジュール(原油換算で約5000キロリットル)の熱エネルギーを生成し、高温水を作り出す。もともと石炭を使っていたが、地産地消を狙い2009年度から木くずの利用を始めた。センター長の舟津四郎氏は「眠る資源を地元のエネルギーとして活用する」と話す。

木くずを使った壮大なプロジェクトも始動。道庁と津別町、木材製品の丸玉産業(津別町)が1月に協議会を立ち上げ、町内電力の自給自足を検討し始めた。合板などを製造する丸玉産業は木くずをボイラーで燃やし、電力を生成。自社工場の電力を賄うほか、北海道電力に売電している。

丸玉産業が保有する発電施設の出力は4700キロワット。このうち700キロワットは未使用。この余剰出力と施設の増強で約1000キロワット分を使えるようになれば、町全世帯(約2400世帯)の電力を賄える。北電に頼らないエネルギーの自給自足が実現する。道庁幹部は「いずれは津別町の全世帯の電力を自給自足できるようにしたい」と説明する。

道内では堀達也前知事を中心に再生可能エネルギーの導入ノウハウを提供する組織「北海道再生可能エネルギー振興機構」を設立する計画もある。道経済産業局の鈴木洋一郎資源エネルギー環境部長は「バイオマス発電は林業・酪農・畜産が盛んな道内に適している」と指摘。眠る資源をいかに活用するか。自治体や企業の本気度が試される。

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