道内雇用、悪化に歯止め ITなどで求人増加

2011/11/12付
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道内企業が正社員などフルタイム社員の求人を増やしている。慢性的な人不足の医療・介護分野だけでなく、IT(情報技術)系などで事業拡大に向けて人材を確保しようとする動きが出てきた。将来を見据え、固定費がかかっても正社員を雇うことを選択する企業もある。道内雇用は依然として厳しいが、悪化には歯止めがかかってきたようだ。

アルプス技研の札幌営業所は11月に30人の正社員求人を出した。同社は、東京などで受注した仕事を札幌営業所で担うケースが多い。拡大するスマートフォン関連のソフト開発受注を見込み、IT技術者の多い札幌で人材確保に動いた。

道内IT系企業でも、エスアイ・システム(札幌市)が5人の採用を検討している。「業務量が増え、採用に乗り出した」(同社)という。道内のIT系人材の求人はコールセンターのオペレターが多い側面もあるが、一部では開発技術者の獲得を目指す動きが出始めている。

菓子卸のさつき堂(札幌市)は、エゾシカ肉販売の新会社を立ち上げるため、社員を増やす。5人採用する方針で、すでに食肉店で経験のある人材の採用を決めた。渡島信用金庫(茅部郡森町)は3人の正社員を採用する予定だ。年度末に向け増加する見込みの地元中小企業への経営相談業務を強化、拡大する。経験の浅かった若手社員の教育も狙い、「金融機関で経験のある管理職を求めている」(同金庫)という。

北海道労働局によると、新規求人数は9月に前年同月と比べ約13%増え、20カ月連続で増加が続く。新規求人のうち、フルタイムで働く常用求人は20カ月連続で前年を上回った。業種別では、卸・小売業や情報通信業で、フルタイム社員を希望する流れが目立つ。

雇用調整のしやすいパートではなく、固定費がかかっても正社員を雇って社内教育することで企業成長につなげていく狙いもある。

断熱建材を製造販売するダンネツ(旭川市)は今後3人の正社員を採用する予定だ。見習から社員を育てていき、新たな仕事獲得につなげていく考えだ。

道内は低水準ながら雇用は持ち直しつつある。ただ、パートとフルタイムの求人を合わせた9月の有効求人倍率は0.49倍にとどまっている。求職者2人に1求人という厳しい状況は変わらない。すべての業種で、フルタイムの常用求人が増加傾向にあるわけではなく、農林漁業や建設業の常用求人は9月に前年を下回った。持続的な雇用回復の動きが幅広い業種に広がるには、もう少し時間がかかりそうだ。(島田貴司)

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