カキがつなぐ復興支援(震災取材ブログ) - 日本経済新聞
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カキがつなぐ復興支援(震災取材ブログ)

@宮城・南三陸

「日生(ひなせ)カキオコ」。7月中旬の週末、取材の前に宮城県南三陸町の復興商店街「南三陸さんさん商店街」に立ち寄ると、見慣れぬのぼりが目に入った。

「限定200食、いかがですか?」。黄色いTシャツに身を包み「豊楽食堂」の前で呼び込みをしていたのは「日生カキオコまちづくりの会」の会長代行、堂本竜也さん(45)だ。

カキオコとは牡蠣(カキ)の入ったお好み焼きのこと。岡山県備前市日生町の郷土料理で、昨年11月に兵庫県姫路市で開かれたB-1グランプリに初出展し、9位に入賞した。

堂本さんらはカキオコのチャリティー販売をするためにこの商店街を訪れた。本来は日生産のカキを使うのだが、今回は宮城県産を使って1枚600円で販売した。食堂の従業員に調理法を伝え、備前東商工会が商標登録している「カキオコ」の名称を無料で使えるようにした。今後、三陸海岸の被災地の飲食店などでも名前を使いたいという要望があれば、応じたいとしている。

2008年から互いの地を訪問し合うなど、カキを通じた交流をしていたことが縁で今回のチャリティーが実現した。収益の一部は南三陸商工会に寄付した。今後は種ガキの仕入れやB-1グランプリへの参加で交流がある宮城県石巻市でも同様の取り組みをする考えだ。

カキは南三陸町を代表する名産品の一つだが、東日本大震災で養殖施設などが被災し大きな打撃を受けた。堂本さんらは「カキの生産が復活して、例えば三陸カキオコといった名前で町の新たな名物になれば」と期待する。

チャリティー販売したカキオコには、B級グルメを通じて交流がある岩手県の団体が無償で提供した岩手県産キャベツも使っている。予定していた取材の時間が迫ってしまい、食べる頃にはすっかり冷ましてしまったが、復興を願う人たちの思いがこもった温かな味がした。(杉垣裕子)

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