次世代有機デバイス開発へ頭脳結集 山形大が拠点作り

2010/7/31付
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紙のように曲がる次世代ディスプレー研究の第一人者として世界的に知られる時任静士氏(51)がNHK放送技術研究所を退職し、8月から山形大学へ移籍する。同大は有機電子工学研究の一大拠点づくりに乗り出しており、国内外から一流の頭脳を集める計画。時任氏は有機トランジスタ部門の中核研究者として招く。これで戦略的な研究者集団の全容がほぼ固まり、次世代有機デバイスの開発が加速する。

時任氏は20年以上にわたり、導電性高分子やフレキシブルディスプレーの研究に取り組んできた。トヨタ自動車系、NHK系の研究機関を経て山形大へ移籍する異例の大型ヘッドハンティングで、8月2日に都内で正式発表する。印刷技術を応用した低コストの塗布型有機デバイスが研究テーマの一つで、実現すれば薄くて折り曲げ自在のパソコンやテレビ、電子ペーパーなどの誕生に大きく近づきそうだ。

山形大は工学部(山形県米沢市)に十数億円を投じ「先端有機エレクトロニクス研究センター」を建設中。研究者のドリームチームを結成し研究開発を加速させる科学技術振興機構(JST)の「地域卓越研究者戦略的結集プログラム」の採択を受け、3つの研究部門ごとに「ノーベル賞級の頭脳」をスカウトしようと水面下で動いてきた。

有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)部門は城戸淳二同大教授が率いる。有機太陽電池部門はオーストリアのリンツ大学(ヨハネス・ケプラー大学)からN・S・サリチフチ教授を招く方針で、9月にも大詰めの交渉を行う。移籍を伴わない「連携卓越教授」として米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の楊陽(ヤン・ヤン)教授と契約したほか、米ロチェスター大学のC・W・タン教授とも大筋合意した。

さらに国際アドバイザーとしてノーベル化学賞を受賞した米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のA・J・ヒーガー教授ら3教授が内定。優秀な若手研究者を採用する「テニュア・トラック制度」も活用し、既に国内外から3人が集まっており、米沢を世界最高水準の研究拠点にしようという構想が本格始動する。

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