「福島再生総局」発足3カ月 復興窓口一本化に評価の声

2013/5/1付
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福島県の復興を加速するため県内の事業を統括する「福島復興再生総局」が発足して1日で3カ月。市町村からは、ニーズへの対応の迅速化やきめ細かい要望の聴取などについて一定の評価を与える声が聞かれる。一方で、遅れ気味の除染などを巡り統合効果の発揮を求める注文も目立つ。国も総局への権限委譲などをさらに進める考えだ。

再生総局発足後の変化について、楢葉町の松本幸英町長は「以前とは動きが違う。被災自治体の要望に迅速に応える姿勢は評価できる」と語る。

浪江町の馬場有町長も「農林水産省に予算がないという理由で進まなかった農地の除染が予算を持つ環境省との連携で動き始めた」と指摘。飯舘村の菅野典雄村長は「窓口が一本化され『これはうちの所管じゃない』と言われることが減ったのは1歩前進」と言う。

再生総局は安倍晋三首相の肝いりで2月1日に発足した。従来は復興庁の福島復興局、環境省の福島環境再生事務所、内閣府の原子力災害現地対策本部の間に組織の壁があり、「対応や意思決定が遅い」との不満が市町村から相次いでいた。

再生総局の発足後、3機関は週に1回程度、総局の「事務局会議」を開催。情報を共有し要望への対応などを協議している。事務所も移し、3機関の職員がビルの同一階で働くようになった。

総局トップは根本匠復興相、事務局長は前復興庁事務次官の峰久幸義・内閣官房参与。政官のトップ級が現地組織の長を兼ねることで意思決定を迅速化する狙いで、組織の統合などは一定の効果を生んでいる。

自治体の細かなニーズに応える姿勢も見える。富岡町では3月25日の避難区域再編までに町内の27カ所に仮設トイレが設置された。「準備期間は短かったが、復興局と区域再編を受け持つ現地対策本部の連携が機能した。権限が現場に下りている印象もある」と担当者。「住民の帰還を促すため診療所で受診できる診療科を増やす」(川内村)、「避難区域の留守家屋のネズミ駆除」(南相馬市)といった施策も実施されている。

課題が山積する各自治体側は、統合効果の一段の発揮を求める。菅野村長は「除染への対応は相変わらず進まない。(除染作業に入るための)手続きを簡素化するなどしてほしい」と注文。「汚染土壌の仮置き場の確保などは用地交渉のノウハウを持つ国土交通省と環境省が協力すべきでは」(ある町職員)といった声も聞かれる。

仮設トイレの設置などを行った「帰還・再生加速事業」を所管する復興庁は5月にも、自治体との間で事業の契約を結ぶ権限を東京の本庁から再生総局に移す方針。現場の要望への反応速度をさらに上げる考えだ。

根本復興相の一問一答「職員の現場主義貫けた」

根本匠復興相は30日、日本経済新聞の取材に応じ、「復興の進み具合が目に見えるようにしたい」と述べ、福島での除染作業の効率化や住民の帰還支援を急ぐ考えを強調した。

――再生総局設置から3カ月。成果はどうですか。

「職員には『現場主義を貫いてほしい』と言ってきた。担当者が役所の縦割りを取り払い、チームを組んで地元の課題や悩みに応じる仕事のやり方は定着してきた。司令塔を担う幹部職員の連絡が密になり、地元首長から評価するとの声も聞いた。どうすれば体制を強化できるか、今後も常に考えていく」

――除染や原発被災者の地元帰還など課題はなお山積しています。

「除染は今のやり方を総点検する。最新の技術を取り入れて効率をあげていく。住民の帰還については、ほぼ避難区域の見直しを終えたので、今後は必要なインフラの整備やコミュニティーの再生支援などに力を入れねばならない。復興の進み具合を具体的に目に見える形にすること。それがこれからの課題だ」

――原発事故の影響について、不安はなかなかぬぐえません。

「5月の連休を利用して、チェルノブイリ原発事故の現場を視察する。事故直後に現地でどういう対応がされたのか。事実関係を把握し、日本との共通点や相違点を整理する。将来については『正しく恐れる姿勢』が必要だ。政府としての見解をまとめたい」

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