住民向け健康調査施設 東北大、ビッグデータ構築
東北大学は地域住民の健康状態を詳しく調査する施設を宮城県内に相次ぎ開設する。28日に仙台市などで調査がスタート。11月中旬までに宮城県内に7カ所の会場を設置する。東日本大震災の復興事業の一環で、住民の身体情報を蓄えたビッグデータを構築して医療研究に活用する。調査協力者には結果を報告し、健康管理に生かしてもらう。
大学内に設置した「東北メディカル・メガバンク機構」が調査する。動脈硬化や肺機能、骨密度など17項目を約2時間かけて検査し、採取した血液から遺伝子情報も取得する。今週中に仙台と石巻、多賀城、岩沼、気仙沼の県内5市で調査を始め、11月中旬には白石、大崎両市に同様の施設を開く予定だ。
調査自体は今年5月から各自治体の特定健康診査の会場に調査員が入って手掛けていたが、拠点ではさらに詳細な検査ができるという。東北大は県内5万人の住民の情報を得る目標。検査後は約1年おきに郵送資料などで健康状態を追跡調査する。遺伝子や生活習慣と病気の有無を研究する基礎資料になる。
協力者にとっては血管や肺、骨などの検査を無料で受けられる利点がある。通常の健康診断のように網羅的な検査ではないが、結果を見て通院の判断材料にできる。機構長を務める東北大大学院医学系研究科の山本雅之教授は「世界的にもかなり先進的な試みで、取得したデータは日本の医学研究の基盤になる」と話している。