2019年1月24日(木)

子どもの詩・豊かな感性を発信して(震災取材ブログ)
@福島・郡山

2012/8/3 7:00
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   サードを守る
                   郡山市立根木屋小学校5年  増子 剛己
 ぼくはサードになりたい。     ボールを強くにぎりしめ
 ファーストにおもいっきりなげる。     大声で「さっ こい」とボールをよぶ。
 練習をいっぱいして     ユニホームをまっ黒によごして
 試合に「サード」で出たい     そういう気持ちで試合に出ると
 きっと良いプレーができるはず。     「やってやる。」
 「自分にできることを。」     それは「サードを守ること。」

児童詩集の発行団体である「青い窓の会」(郡山市)が今月開設した詩の展示・イベントスペース「ポケットガーデン」で紹介している詩の1つだ。

著名なアナウンサーやタレントが無償で朗読した内容をスマホやタブレット端末で聞ける

著名なアナウンサーやタレントが無償で朗読した内容をスマホやタブレット端末で聞ける

会の設立は1958年。福島県内の子どもから募った作品を掲載した詩集「青い窓」を年6回発行し、福島県の小中学校に無償で、一般には年会費2000円で郵送している。最新は540号だ。これまでに寄せられた詩は約30万編。ポケットガーデンにはえりすぐりの15編を展示している。

展示スペースは郡山駅前の和菓子店のビルの一角にあったが、このビルの建て替えに伴って移転・新設した。テーブルといすも並べてあり、詩を味わいながら談話できるようにしている。家族とともに訪れた主婦は「上手下手は関係なく、素直な子どもの思いが伝わるのがいい」と話していた。

被災地を支援しようとの思いから、著名なアナウンサーやタレント6人がこの詩集から選んだ18編を無償で朗読した。スマートフォンでその録音を無償でダウンロードできるアプリ「ぼくらの ことのは ~ふくしまの子どもたちより~」が昨年8月につくられ、今年6月には創作した子どもが自らの詩を朗読する3編分も追加した。「サードを守る」は増子君の朗読を聞くことができる。

郡山市では詩などの創作活動が盛んだ。郡山青年会議所は市内の中学3年生を対象に、同市にゆかりのある久米正雄・宮本百合子にちなんだ文学賞「久米賞・百合子賞」を1964年に創設。活発な投稿が長く続いている。昨年は震災があったにもかかわらず、9月初旬の締め切りまでに詩が108編、小説は99編が寄せられた。郡山市も数十年に渡って、市内在住・在校の小中学生から詩を募集して「ぼくらのひろば」という冊子や市の広報誌で紹介を続けている。

展示する詩は「青い窓」同人代表の橋本陽子さんらが選び出した

展示する詩は「青い窓」同人代表の橋本陽子さんらが選び出した

「青い窓の会」同人代表の橋本陽子さんは「子どもたちの感性は鋭く、本質を見極める目は確か」と話す。それを広く社会に伝えることで「大人に日ごろの行動を見直してもらい、子どもを大切に育てる意識を強めてほしい」という。郡山市こおりやま文学の森資料館の溝井勇館長は「子どもの作品に大人が触れると、人間本来の姿が感じ取れるはず」とみる。

東日本大震災で郡山は地震の被害を受け、市民は放射能の影響を警戒する毎日だ。特に子どもたちは屋外での活動を制限され、日常生活が大きく変わった。それでも、ことさら震災をテーマにした作品は多くはないという。「当たり前の日常生活のすばらしさ、家族の温かさを感じさせる作品が目に入る」と橋本さん。子どもたちの多くは福島で生活を続けながら、感性と優しさ、強さをはぐくんでいく。その言葉をすくい取って全国に広く発信していけば「彼らの自信が増し、郷土に対する誇りも高まる」(橋本さん)。このブログが少しでも役に立てば幸いだ。(佐藤敦)

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