バフェット氏が聞いた演歌(震災取材ブログ)
@福島・いわき

2011/11/24付
保存
共有
印刷
その他

今月21日、米国の著名投資家、ウォーレン・バフェット氏が福島県いわき市を訪れた。同氏の投資会社が間接出資する超硬工具メーカー、タンガロイの新工場完成を祝う式典に参加するためだ。

タンガロイの式典で演奏する福島県立湯本高校の吹奏楽部(21日、福島県いわき市)

新工場の前では約400人の従業員が同氏を出迎え、国内外から約70人の記者も詰めかけた。世界的な投資家の来日は「風評被害に苦しむ福島へのエール」(福島県の内堀雅雄副知事)となった。

「オマハの賢人」の言葉もさることながら、気になったのが式の合間の音楽だった。テープカットをするバフェット氏の脇で、楽団が演奏していた。軽やかでいて力強い響きに引き込まれた。

マーチ風の曲の合間には、演歌歌手、坂本冬美さんのメドレーも。普段ならもの悲しいメロディーも、勇ましく感じる。

式典後、後片付け中の楽団を訪ねた。地元いわきの福島県立湯本高校の吹奏楽部のメンバーだ。10月に開かれた吹奏楽の全国大会では東北代表の3校の1つとして参加。寒風にもめげず、式典を盛り上げた。

実はこの演奏が、3年生の最後の舞台だった。3年生の小林純也さん(18)は「最後の曲の後、バフェットさんが拍手してくれた」とにっこり。「今日の演奏は100点」と晴れやかな表情だった。

東日本大震災でいわき市も大きな被害を受けた。沿岸部は津波が襲い、4月の余震も強かった。湯本高校吹奏楽部は、震災後の約1カ月は練習できなかった。

10月に部長になった五十嵐佑実さん(16)は「震災前まで当たり前だった音楽がかけがえのないものだと感じた。団結力も強まった」という。「感謝の気持ちを音に託していきたい」と澄んだ瞳で話す。

初来日のバフェット氏は演歌を聴くのも初めてだっただろう。「(震災後も)日本や福島の企業への見方は変わっていない」と語った同氏。湯本高生による力強い演奏で、その思いをさらに深めたはずだ。(相模真記)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]