2019年4月23日(火)

迫る森林崩壊、「水源の郷」救え! 横浜市OBら保全へ苦闘
間伐ボランティア同行ルポ

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2013/8/11 7:00
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 かつて外国の船乗りの間でも「おいしい」と好評だったヨコハマの水。その水源地である山梨県道志村の森林は今、全国的な林業衰退の影響で想像以上に荒廃が進んでいる。「水源の郷(さと)」を標榜する同村の山林の実情からは、日本の林業が抱える深刻な課題が見えてくる。横浜市OBらでつくるボランティア団体の森林保全作業に同行、森林崩壊を食い止めようとする活動を追った。

■緑あふれる森林の実情は

伐採した間伐材を放置すると、腐食して資源としての活用が難しくなる(山梨県道志村)

伐採した間伐材を放置すると、腐食して資源としての活用が難しくなる(山梨県道志村)

丹沢山麓の北側に位置する道志村。相模川の上流の道志川沿いに走る国道413号は、世界文化遺産に登録された富士山へ向かう観光道路としても利用され、沿道はスギやヒノキの人工林に囲まれている。一見すると緑あふれる豊かな森林に、崩壊の危機が迫っている。

地面まで十分な光が届かず手入れの行き届かない針葉樹は「線香木」と呼ばれるほどにやせ細り、風倒木などが放置されている。地表に光が届かないため植物も生えず、森の保水機能は著しく劣化、ひとたび大雨が降れば簡単に表土を流し去り、大規模な土砂崩れの危険にさらされている。

「それでは間伐した倒木を中央の広場に集めて下さい。何年も放置された木は腐っているので気をつけて」。7月中旬の土曜日。道志村の民有林で、森林保全ボランティア団体「道志間伐材活用横浜サポート隊」の代表、中島晋さん(67)が仲間に声をかける。

森林の中では、間伐で切り倒された杉の木があちこちの急斜面に放置されている。ボランティア隊は、これをチェーンソーで運搬可能な長さに切るなどして、滑車を組み合わせたワイヤを引っかけ、ズルズルとウインチで引きずりながら1カ所に集める。

「『切り捨て間伐』と呼ばれています」。中島さんは荒れた森の状況を説明する。道のない急斜面をよじ登り、1本ずつワイヤをかける作業は危険で、蒸し暑い森の中ではなかなかの重労働。立っているだけでじわっと汗がにじむ。

切り倒して数年間も放置された間伐材は幹の奥まで腐食して木材としての商品価値を持たない。

作業現場からちょっと離れた場所にある小川に出ると森林荒廃の惨状がわかった。無造作に放置された「切り捨て間伐」後の木の幹や切り株の間をくぐり抜けるように、地面をえぐり取ったような溝ができている。むき出しになった砂利の間のこの溝をチョロチョロと水が流れる。まるで災害現場のようだ。

「この間の豪雨の時は、ここが濁流となって土や木を流し去ったんだ」。ボランティアの男性が教えてくれた。保水力を失った森では、地面に染み込むことなく行き場のなくなった雨水が暴力的に地面を削り、表土とともに下流へ流し出す。100メートルも行かない先には民家がある。

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