JR北海道、根深い不正 労使なれ合い世間から乖離

2014/1/22付
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北海道旅客鉄道(JR北海道)で保線担当部署の7割以上がレール検査データを改ざんしていたことが21日、分かった。根深い不正の奥底には経営と現場の間の甘えがある。厳しい経営環境のなかで将来展望がなく内向きになり、世間から乖離(かいり)した労使間のなれあいが腐食の温床となった。

「レール幅の1~2ミリメートルの修正なら安全に問題はないと思っていた」「日常業務では超過勤務をしてまで補修をしない」「最長で20年前からデータを書き換えていた」――。JR北海道が公表した社内調査の結果からは、安全を最優先すべき鉄道会社とはほど遠い実態が浮かびあがる。

国土交通省は21日にまとめた特別保安監査結果の中で、長年にわたるずさんなレール管理を「本社・現場ともに旧国鉄時代のやり方を漫然と続けそれすら維持できない」「前任者からの引き継ぎにより(改ざんが)慣例化していた」と厳しく指摘。同社にJR会社法による監督命令と鉄道事業法に基づく事業改善命令を通知した。

同社では1割の幹部社員が本社で計画を立て、高卒社員が現場で実行する。「現場任せにしていた」(野島誠社長)というよりむしろ、経営陣は現場の実情を把握することを怠り放任してきた。

国鉄の分割民営化で1987年に発足したJR北海道は最も経営環境が厳しいといわれるなかで船出した。広い北海道で人口の少ない地域を走り、国鉄時代なら廃線候補になるほど利用者の少ない路線が今でも営業距離の7割近くを占める。

現在の社員数は約7千人。民営化前の4分の1に減った。経営陣はコスト削減のための人員減に協力した主要労働組合には干渉せず蜜月関係を保つ。相互になれあい世間の常識から離れていく。

昨年9月に自らのミスを隠すために自動列車停止装置(ATS)を壊した運転士の処分は出勤停止15日で、国会などで甘いとの指摘が相次いだ。野島社長は21日の記者会見でようやく「社内処分は確定しているが、司法の判断に委ねたい」と述べ、器物損壊の疑いで告訴する方針に転じた。

運転士の飲酒検査も酒が飲めない体質と申告すれば除外。一連の不祥事で昨年11月にやっと全員の義務としたほどだ。相次ぐ不祥事で初めて、経営陣は態度を変えた。

人口が減る北海道で将来展望は描きにくい。一方で、国が実質的に全株式を保有し倒産の恐れはない。諦めと甘えの積み重ねが労使双方の腐食を広げ異常事態に至った。

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