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東北の公示地価、宮城が5年ぶり上昇

国土交通省が21日発表した2013年の公示地価(1月1日時点)では宮城県の全用途平均が1.0%上昇し、5年ぶりに反転した。上昇率は全国1位。東日本大震災からの本格的な復興が始まり土地への需要が高まっている。他の東北5県は下落が続くが、5県とも12年と比べ全用途平均の下落率は縮小。駅前再開発によりこれまでの急速な下落に歯止めがかかる地域が増えてきた。

JR石巻駅(宮城県石巻市)。津波の浸水被害を受けた駅前商業地で復興に向けた再開発の計画づくりが進む。商店と復興住宅を一体にした施設の建設や、海沿いで被災した市立病院の移転計画が持ち上がる。駅前の商業地は公示地価が前年比8.7%上昇。上昇率は全国7位だ。11年は3.8%、12年は3.6%と、それぞれ下落していた。

駅前の一角で建設が進む新築マンションは40戸がほぼ完売。建築資材価格の高騰で価格帯は「震災前の仙台圏の水準に上げざるを得なかった」(販売業者の東北パートナーズリアルエステート)が、早期の生活再建を目指す被災者を中心に需要は高いという。

土地の需要は広い範囲に及んでいる。石巻市の住宅地の平均上昇率は5.1%。前年と比較可能な26地点中21地点で上昇した。市内の不動産業者は「被災者の移住の受け皿として、市街地から離れた地域の宅地化が進んでいる」と話す。土地が震災前の4倍の高値で取引される例もみられるという。

東北最大の都市、仙台市はマンション建設が活発だ。沿岸部からの移住者に加え、免震構造を備えた新築に住み替える富裕層からの需要が高まっている。

市内の公示地価もJR仙台駅東口の再開発地区や15年度開業予定の地下鉄東西線の新駅近くなど、マンション開発地での上昇が目立つ。

総合広告代理店のDGコミュニケーションズ仙台支社によると12年の新築マンションの供給戸数は1106戸と前年比64%増えた。12月末の契約率は94%と「ほとんど在庫がない即売市場」だ。

福島県でも移転需要で地価の上昇がみられる。都市再生機構(UR)が整備するいわきニュータウン。閑静な住宅街で公示地価が10.6%上昇した。点在する空き区画では新築住宅の基礎工事が進む。

震災直後の11年3月末時点で約290あった空き区画が震災後2年でほぼ完売した。移転需要を見込んだ大手住宅メーカーによる買い取りが活発だ。URいわき営業所の浅野雅之所長は「土地は取り合いの様相も出ている。中古物件の取引価格が上昇している」と話す。

被災地以外でも再開発に取り組む地域で下げ渋りの兆しがある。秋田市では12年7月の「エリアなかいち」の開業効果で、駅から商業施設へ向かう歩行者が増えてきた。昨年6.0%下落していた商店街の地点は1.9%まで下落率が縮小した。山形県東根市でイオンや家電量販店が集積する商業地では、青森、秋田、山形の3県で唯一、横ばいを保った。

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