2018年11月14日(水)

日本三大桜「滝桜」にかける思い(震災取材ブログ)
@福島・三春

2012/4/23 7:00
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桜前線がようやく東北南部に到達し、福島県三春町の「滝桜」もつぼみが膨らんできた。岐阜県の根尾谷淡墨桜、山梨県の山高神代桜と共に「日本三大桜」に数えられる名木だ。満開になると流れ落ちる滝のように見えるため、こう呼ばれている。

開花前でも観光客が集まる

開花前でも観光客が集まる

滝桜の近くにある中郷仮設住宅には、同県葛尾村から181人が避難してきている。22日、滝桜を守る活動をしている保存会の小松茂行さんらの誘いで花見の宴を催した。

仮設住宅自治会長の松本信弘さんは「普段は家にこもっている人も多いので、面白い会にしたい」と念入りな準備に励んだ。料理は手分けをして用意し、妻の京子さんはジャガイモやタマネギでオードブルのサラダをつくった。皆が有り合わせのものを持ち寄る宴だが「それが楽しい」と松本さん。カラオケの装置も用意して、須賀川市在住の民謡歌手や熱塩温泉の女将らも駆けつけ、歌や踊りを披露した。

仮設住宅の近辺にはコンビニエンスストアはもちろん店舗は何もない。最寄りのJR三春駅は6キロメートルほど先だ。葛尾村の除染は「2年で終わると言われていたのが、どんどん先延ばしになっている」(松本さん)。住人の不満は募るばかりだが「政府の方針が伝わるばかりで、我々の声が政府に届かない」(同)。花見の宴は貴重な息抜きになったようだ。

花見の話題になると顔がほころぶ(松本さん夫妻)

花見の話題になると顔がほころぶ(松本さん夫妻)

滝桜では昨シーズン、東日本大震災と福島第1原発の事故の影響で出店がなく、ライトアップも中止された。花見客は例年の半分の15万人にとどまった。三春町観光協会の渡辺安博事務局長は「今年にかける意気込みは格別」と期待する。

来場者の誘導を担当する人たちは「開花前でも満足してもらえるよう、説明の仕方を勉強した」と話す。一昨年までは週末だけだったライトアップは今年は4月末まで毎日続ける。三春駅からの臨時バスの運行も4月末まで延ばした。例年より開花が遅れており、今年はゴールデンウイークにかけて花見を楽しめそうだ。

滝桜の樹齢は1000年超。幾多の戦乱と震災を経てきたが、今年はとりわけ咲き甲斐があることだろう。(佐藤敦)

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