2018年8月22日(水)

スキー国内発祥100周年 集客回復へ事業者が連携
長野、リフト割引券や催し工夫

2010/11/20付
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 日本のスキー発祥100周年にあたる今冬、長野県内のスキー事業者が新たな集客策を展開する。新たな割引やシーズン券が当たる催しなど工夫を凝らす。県内のスキー場の利用者数はピーク時の3分の1に落ち込む。その危機感が関係者の連携を強めているが、利用者を増やすのは容易ではない。

 1911年1月、オーストリア人が新潟県内に伝えたのが日本のスキーの発祥。翌年には長野県の飯山にも伝わったという。県内のリフト会社でつくる県索道事業者協議会は今冬からの2シーズンを100周年期間と位置付け、キャンペーンを展開する。

長野県内で最も早くオープンした軽井沢プリンスホテルスキー場(10月29日、軽井沢町)

長野県内で最も早くオープンした軽井沢プリンスホテルスキー場(10月29日、軽井沢町)

 協議会は集客策の柱として、県内の小学生にリフトの1日無料券を配ったほか、リフト料金の15~20%の割引券を導入する。駒谷嘉宏会長は「スキー人気が衰退するなかで、我々のサービスが足りなかった。次の100年を見据えたい」と力が入る。

 この協議会は昨年9月、北信と南信にあった組織を統合して発足した。新しい組織ができ、県内全域での取り組みがしやすくなった。「県への働きかけがまとまってできるようになった」(駒谷会長)という。

 各事業者も必死だ。野沢温泉スキー場は場内のクイズに答えて応募すると、シーズン券などが当たる催しを企画している。戸隠スキー場では女性3人以上で利用すると、リフトと昼食が割引になったり、レンタル料金を割引したりするサービスを始める。

 ファミリー層の取り込みにも熱心だ。すでに営業を始めた軽井沢プリンスホテルスキー場。親子連れに「安心して遊べる」と好評だったソリ専用ゲレンデ「キッズパーク」の設置も計画する。プリンスホテルの赤坂茂好専務執行役員は「施設づくりが不可欠」と訴える。

 県内のスキー場の利用客数の減少は止まらない。県によると、2009年は718万人とピーク時の92年の3分の1にとどまる。スキー場数は98。ピーク時から約1割減ったすぎず、近い将来、淘汰が始まってもおかしくない状況だ。

 スキー場の利用客は周辺の旅館や土産店、交通機関などの経営に影響する。スキー産業は冬の観光の柱で、県は「客を取り合うのでなく、全体でスキー産業を盛り上げる」(観光振興課の石原秀樹課長)ことを期待する。

 ただ、現時点で県内の関係者は一枚岩ではない。「リフト料金の引き下げで客が増えるとは思えない」(あるリフト会社)と、協議会と距離を置くスキー場もある。

 利用客数を減少から増加に反転させるには、それぞれのスキー場の独自の魅力づくりのほか、同時にスキー一辺倒からの脱却も課題だ。「雪上スポーツやウオーキングなど幅広い楽しみ方を訴え、スキー客以外も取り込んでいくことが必要」(志賀高原リゾート開発の佐藤正樹社長)という。

 地域性などの特色を見極めた誘客努力が欠かせない。100周年はスキー場にとって、生き残りをかけた構造変化への一つの区切りでもある。(学頭貴子)

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