ナンバ、冷凍設備のフロンガス漏洩を微量で検知
冷凍設備の設計・施工を手掛けるナンバ(長岡市、難波昇一社長)は、スーパーマーケットなどの冷凍設備の冷媒として用いるフロンガスの微量な漏れを検知できるシステムを開発した。早期の発見により設備の運転に支障が出る前に対応できる。新潟県内のスーパーを中心に売り込む。地球温暖化への影響が懸念されるフロンガスの漏洩を防ぐシステムとして普及させたい考えだ。
開発したのは、代替フロンを含むフロンガス漏洩検知システムの「フロンキーパー」。1日数回ある屋内冷却器の霜取り時間を利用し、液体状態になっている冷媒の液面の高さを測定する。液面が下がると電話回線で自動的に警報がナンバに送られて対処できる。
県内で35店のスーパーを運営するウオロク(新潟市)が、岡山店(阿賀野市)をはじめ3店舗に導入した。実際のガス漏れはまだ発生していないが、テストでは冷媒タンクの液面が約2ミリメートル下がれば警報が出せることを確かめた。
ナンバはこのほか、保守契約を結んでいる店舗などウオロクを含む十数店からも受注しているという。
ナンバの2011年10月期の売上高は約14億円。2月1~3日には東京ビッグサイトで開かれるスーパーマーケット向け商談会に出展する。09年の経済産業省の調査によると、スーパーでよく使われる別置型冷蔵ショーケースと呼ぶ冷凍機器から年間16%のフロンガスが漏れていた。幅広いニーズがあるとみて、出展を機にフロンキーパーを普及させたい考えだ。
電話回線で警報を伝えるフロンキーパーは、1台の制御盤で最大32台の冷凍機に対応できる。制御盤の本体価格は約63万円(税別)。既存の冷凍機に取り付ける場合、配管を加工して液面の位置をセンサーに知らせるフロート(浮き)を入れる必要がある。
温度が11~12度上がったら警報を出す装置もあるが、警報時にはすでに7~8割が漏れていることが多い。コンプレッサー(圧縮機)などの故障の原因にもなるという。
ハイドロフルオロカーボン(HFC)などの代替フロンは、オゾン層を破壊するフロンガスに代わる冷媒として利用されている。しかし、同じ量の二酸化炭素(CO2)の数千倍の温暖化効果があるとされ、排出抑制が求められている。