2018年8月19日(日)

川内原発再稼働「反乱」の真相 姶良市議会議長に聞く

2014/7/19付
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 原子力発電所の再稼働に、全国で最も前向きとみられてきた鹿児島県の自治体。だが原子力規制委員会が九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の安全審査合格を内定した16日の直前に、原発から30キロメートル圏内にある姶良(あいら)市の市議会が「川内原発の1、2号機の再稼働に反対し廃炉を求める」意見書を可決した。早期の再稼働を目指す九電や鹿児島県にとっては思わぬ反乱が足元から起こった。姶良市議会の湯之原一郎議長に意見書の狙いや背景を聞いた。

湯之原一郎・姶良市議会議長

湯之原一郎・姶良市議会議長

 ――姶良市議会は7月11日に、再稼働に反対し廃炉まで求める意見書を大差で可決しました。

 「私たちが最も言いたいのは、国が私たち市民を原発事故が起きた場合、どう守ってくれるのかという点だ。原子力規制委は安全審査に『合格』は出しても、『事故がゼロになる』とはいっていない。たとえ原発の新しい安全神話を語られても、東京電力福島第1原発事故の状況を見た後では信じられない。私たちが知りたいのは、今回の安全審査で原発のリスクがどこまで減らせたのかだ。それについて国から説明が全くない。それが大きな不満だ。国への不信感が今回の再稼働に反対する意見書の可決につながった」

 ――川内原発がもう少しで安全審査合格になるときに、可決したのはなぜでしょう。

 「規制委が16日に川内原発の安全審査合格を内定した。もう少し慎重にという声もあったが、10月にも再稼働するという、このタイミングで出さなければ間に合わないという市議の意見が多かった。次の秋の議会で決めても意味がない」

 ――原発から30キロ圏の緊急時防護措置準備区域(UPZ)に入る住民はわずかです。

 「確かに姶良市で30キロ圏に住むのは、9世帯11人と他の周辺自治体に比べれば少ない。だが人数の問題ではない。30キロ圏外でも『本当に安全なのか、大丈夫なのか』という市民の不安の声はかなり強く、私たちもしょっちゅう耳にする。会派を超え、市議のほぼすべてが賛成したのはその危機感の表れだ」

 ――鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、再稼働への地元同意は県知事と県議会、薩摩川内市長と市議会で十分で他の自治体は必要ないとしています。

 「伊藤知事は体の不自由な要援護者の避難計画についても県が定めた30キロ圏は現実的でなく、10キロ圏ぐらいまで作っておけばいいといっている。健常な人だけ逃げれば良いのか。県が策定した避難計画のシミュレーションでも、平時のみを想定したような内容が多い。乗用車での避難を前提にしているが、運転できない人はどうなるのか。避難計画で示された避難経路も、地震による崖崩れや津波で実際には使えないと想定される。全部でないが、不備が目立つ」

 ――ほかにも不満はありますか。

 「例えば原発事故が発生したときに、薩摩川内市から姶良市に避難した人たちの生活をどう保証していくのかを全く示していない。再稼働の地元同意については、30キロ圏の首長、議会の声を知事は聴くべきだ。こうしたことを考えた上で、再稼働反対の意見書を伊藤知事に提出した。県民の命と安全を守る立場にある知事は意見書を軽く扱ってもらっては困る」

(鹿児島支局長 近藤英次)

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