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「ジオパーク」、東北勢も名乗り

貴重な地形や地質を自然公園として保護し、学術研究や観光に生かす「ジオパーク」認定を目指す動きが東北でも始まった。東北では認定された地域はまだないが、火山や地震の痕跡、奇岩が連なる海岸、埋没林など候補地は多い。各地の住民団体や自治体は足元の「大地の遺産」を見つめ直し、地域おこしにつなげたいと期待する。

宮城県栗原市の山奥にある荒砥沢ダム。周りは一面の森だが、ダムのすぐ上流の斜面は長さ約1.3キロメートルわたり土がむき出しになっている。2008年6月14日朝に起きた岩手・宮城内陸地震に伴う巨大地滑りの跡だ。

ダム上流に人は住んでおらず部分的な防災工事を除き地滑り跡はそのまま残っている。ダムのすぐ下で温泉宿を経営する大場武雄さんらは「荒砥沢キャニオンを守る会」を結成しジオパーク認定を目標に活動中だ。

大場さんは地震当日、山が土煙を上げて流れ崩れる現場を目の当たりにした。地震後、現地を案内した国内外の地質学者から「これほど大きな地滑り跡は貴重。ぜひ保存すべきだ」と口々に言われ、価値を認識した。

大場さんらは地滑り跡を遠望できる場所や資料館を手弁当で作った。栗原市役所もジオパーク化までは踏み込んでいないものの、荒砥沢などの被災地を保存し、観光復興や防災教育に役立てることを検討している。

世界ジオパークは国連教育科学文化機関(ユネスコ)の支援を受けた世界ジオパークネットワークが認証する。合計60カ所を超え、09年8月に日本も洞爺湖有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、島原半島(長崎県)の3カ所が登録された。

日本ジオパーク委員会が認定する国内版の日本ジオパークも11カ所ある。東北6県はまだ空白区だが、07~09年に専門家が選んだ「日本の地質百選」(実際は120カ所)に16カ所が入った。その地元を中心にジオパーク認定に向けた運動が盛り上がりつつある。

青森県の下北半島は火山跡が霊場になっている恐山と宇曽利山湖、かつての陸地が水没した海底林、仏ケ浦海岸などユニークな地形が約20カ所ある。むつ市など5市町村は10年度中にジオパーク化を目指す協議会を発足させたい考えだ。

磐梯山を取り巻く福島県の3町村は今年3月に同様な協議会を設立済み。入り組んだリアス式海岸が続く三陸海岸(岩手県)、秋田県では栗駒山ろくの湯沢市、男鹿市と大潟村、白神山地南西側の八峰町が、ジオパーク認定を目標に団体や検討チームを設けている。

認定を受ければ観光客増が期待でき地域振興の一助になる。だが、認定には「ジオサイト」と呼ばれる珍しい地形や地質があるだけでは不十分。一帯を保全し見学者を案内できる地元での組織づくりも条件になる。

ジオパーク化の実現には役所や観光業界だけでなく、住民全体がその価値に気付き、保護やPRに協力することが不可欠だ。

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