埼玉県、「メガソーラー」候補地に東秩父村と本庄市浮上
埼玉県とソフトバンクが連携して県内に建設を検討している大規模太陽光発電所(メガソーラー)について、東秩父村と本庄市が有力候補地に浮上していることが16日、分かった。ただどちらも敷地面積のメドとしている50ヘクタールには満たない。1カ所ではなく複数に分散することも含めて調整に入る。県は7月上旬までに候補地を絞り込む方針だが、最終決定には難航も予想される。
県には県北・秩父地域を中心に6月7日までに12市町村から20カ所の候補地の提案があった。2012年度の完成を目指しており、県は農地法など土地利用の規制がかからず、早期に対応できることなどを基準に絞り込み作業を進めている。
有力候補地とみられる東秩父村の土地はゴルフ場の開発予定地だ。もともと民間事業者が開発する予定だったが、事業者が途中で撤退。一部造成した土地の25ヘクタールの活用が課題になっていた。このうち村が約20ヘクタールを民間事業者から購入している。農地は含まれておらず、周囲の地権者との調整が素早く済めば、敷地が広がる可能性がある。
一方、本庄市は山林と農地の2カ所をメガソーラーの候補地として県に提案した。合計で30~40ヘクタールとみられる。山林は平地に造成済みだが、両方とも所有者は民間のため、借りるか買い上げる必要がある。
大量の太陽光パネルを設置するため、50ヘクタールの用地が必要とされるが、いずれも1カ所でこの要件を満たしていない。このため、県は複数の用地で対応することも視野に入れる。
今後は候補地の精査を進め、7月上旬までに複数の候補地を選ぶ。ただ、事業の内容が不透明なこともあり、用地の最終決定には時間がかかる可能性がある。
メガソーラー構想には課題が山積する。大前提となる電力会社による「再生可能エネルギー全量買い取り制度」の法案が国会で宙に浮いたまま進まず。現状の制度では発電事業目的の太陽光発電が買い取り対象外で、採算性を確保できる見通しが立っていない。
同構想は50ヘクタールの土地に20メガワット級のメガソーラーを全国10カ所程度建設する計画で、1カ所当たりの投資額は約80億円かかるとみられている。大半をソフトバンクが負担し、一部を県など自治体が負担する仕組み。県は建設する土地の提供などで協力する。
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