被災地の塩害農地、代替作物で再生 菜の花や綿花で収入維持

2011/6/16付
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東日本大震災の津波で浸水した田畑に、塩害に強い作物を植えて再生を目指す取り組みが広がっている。農地は塩分を含むとコメが育ちにくくなるが、大学や企業が農家と協力し、菜の花や綿花など塩分を吸収する作用のある作物を栽培し土壌再生に乗り出した。塩害の影響がなくなり、通常の耕作ができるようになるまで代替作物を生産し、農家の収入を維持する試みだ。

東北大学大学院農学研究科は仙台市の被災農地で菜の花の栽培に乗り出す。農家などから計1.4ヘクタールの農地を借りて、今秋に土壌の塩分を吸い取る効果のある菜の花の種をまく。東北大は世界で唯一、約800種のアブラナ科植物の遺伝情報を持っており、その中でも塩害に強く寒冷地でも育つ種類の菜の花を探し、品種改良にも取り組む。

来春には菜種を収穫して油を絞り、一般向けに販売するほか、バイオディーゼル燃料への活用を研究する。販売で得た収益は農地を提供した農家に還元する。津波で浸水した農地は真水で塩分を繰り返し洗い流さないとコメを育てられない。除塩には数年かかり、農家はその間の収入がなくなる可能性がある。東北大の中井裕・先端農学研究センター長は「耕作を続けながら農地を復旧させるのが重要」と話す。

大阪市に本社を置き「靴下屋」の名称で東北でも店舗を展開する靴下販売のタビオも仙台市で綿花の栽培を始めた。5月下旬に約10アールの農地に種をまき、6月17、18日も約90アールの農地に植える予定だ。タビオが被災農家に種子を提供し、農家が栽培。タビオは今秋に収穫した綿花を靴下に加工して販売する。塩分を吸収する効果がある綿花を植えて、3年後に通常の作物が栽培できるようにする。

農地の約半分が浸水した宮城県岩沼市では、特定非営利活動法人(NPO法人)の農商工連携サポートセンター(東京・千代田)が約20アールの農地にトマトを植えた。熊本県の八代地方では土壌の塩分濃度が高い干拓地で栽培したトマトを「塩トマト」としてブランド化している。直径3~4センチメートルと小ぶりだが糖度が高く味が濃いのが特徴で、1個100円で売ることもある。同法人では今年8月に収穫したトマトの安全性を確認したうえで販売し、農家の復興を支援する考えだ。

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