2018年11月13日(火)

東北9空港、視界開けず 利用減で赤字補填膨らむ

2010/12/15付
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東北の空港が瀬戸際に立たされている。6県の9空港がそれぞれ需要拡大に取り組むものの、利用者減・便数減に歯止めがかからない。東北全体の高速交通体系を踏まえたうえで、航空路線の再編、空港配置の見直しが避けられない。

東北新幹線の全線開業で、航空路の利用者は減少が懸念される(12月4日、青森空港)

東北新幹線が全線開業した4日、祝賀ムードに沸く新青森駅前とは対照的に、青森空港は客足がまばらだった。昼時にもかかわらず空席が目立つ飲食店の店長は「開業日だから仕方ない気もするが、この先どうなるのか」と心配する。

この日、羽田便に乗り込んだ客は「新幹線より速い」(28歳の男性会社員)、「乗り継ぎが便利」(50代の夫婦)など空路支持派が中心。ただ「今回はマイルを使いたくて飛行機を選んだけれど、次は料金が安い新幹線に乗りたい」(30代女性)という声もあった。

羽田線の旅客数は約67万人(2009年度)。約700キロメートル離れる青森と東京を結ぶ主要な交通手段だが、新幹線開業で劣勢に立たされている。

新幹線が新青森―東京駅を片道1万6370円で1日15往復する一方、羽田線の正規運賃は3万100円で1日6往復。空路が優位な移動時間も、新幹線が最短3時間20分と追い上げている。青森県は羽田線の旅客の約1割が新幹線に流れると試算する。

東北にある9つの空港で利用減に歯止めがかからない。国土交通省の東京航空局によると、9空港合計の旅客数(国内線・国際線)は09年度に649万人。5年前の04年度から2割減った。経営再建中の日本航空は今年、東北で6路線を実質廃止した。来年も3月に日航が秋田空港の名古屋(小牧)線、全日本空輸も1月に大館能代空港の伊丹線から撤退する。

10月末で札幌(新千歳)線と名古屋(小牧)線が廃止された山形空港。山形県が周辺の56社を対象に事前実施した調査では、札幌線で74%、名古屋線でも50%が「影響ない」と答えた。両路線とも1日1便という不便さが響いたようだ。仙台空港との競合もある。福島市などでは「福島空港より仙台空港の方が路線や便数が多くて便利」という声が聞かれる。

「黒字への経営改善に向けた空港運営の抜本的な改革が不可欠だ」。13日、福島県の自民党県連は佐藤雄平知事に対して福島空港の利活用を提言した。指定管理者制度の導入による維持管理費の削減や、専門家を交えて経営改革を協議する場の設置を要望。佐藤知事は「しっかりと対応していきたい」とうなずいた。

福島空港はかつて10の定期路線があったが、現在は4つに減った。ピーク時の1999年度には約76万人が利用したが、日航の撤退などが響き09年度は約28万人と低迷。着陸料収入などから維持管理費を引いた収支も09年度は約4億円の赤字だ。

福島空港に限らず、東北各県が管理する7空港すべてで、維持費を着陸料などの収入でまかなえない。各県合計で少なくとも毎年度20億円近くを一般財源から補填している。整備費や減価償却費などを含めると「赤字」は一段と膨らむ。

国が管理する仙台、三沢の2空港も収益を費用が上回る。国交省が9月に公表した試算では仙台の07年度の経常損失は最大5億円、三沢は同2億3000万円だった。

航空行政に詳しい日本大学の加藤一誠教授は「準公共財の空港は赤字でも仕方がない面があるが、地元が負担する意義や費用対効果を議論する必要がある」と指摘する。

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