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商業地の回復鮮明 14年公示地価、地方で軒並み下落率縮小

国土交通省が18日発表した2014年1月1日時点の全国の公示地価は6年連続で下落した。ただ、東京、大阪、名古屋の三大都市圏平均では住宅地、商業地ともに上昇に転換。地方圏も宮城、福島、沖縄の3県で住宅地が上昇し、商業地はすべての道県で下落率が縮小するなど回復が鮮明となった。安倍政権の経済政策(アベノミクス)による景気回復や東日本大震災からの復興需要を背景に、地価の上昇基調が強まっている。

東京圏

全国の地価の高額地点
価格は1平方メートルあたり万円、
変動率%、─は比較できず
順位地  点
(商業地、すべて東京都)
価格前年比変動率
1中央区銀座4―5―6(山野楽器銀座本店)2,9609.6
2千代田区丸の内2―4―1(丸の内ビルディング)2,8706.3
3中央区銀座5―3―1(銀座ソニービル)2,6109.2
4千代田区大手町2―2―1(新大手町ビルヂング)2,2005.8
5中央区銀座2―6―7(明治屋銀座ビル)2,1509.1
6中央区銀座7―9―19(ZARA)2,1409.2
7新宿区新宿3―24―1(三井住友銀行新宿ビル)2,0909.4
8千代田区丸の内3―3―1(新東京ビルヂング)2,060
8千代田区大手町1―7―2(東京サンケイビル)2,0605.6
10新宿区新宿3―30―11(新宿高野第二ビル)1,9909.9
住宅地の地価高額地点
順位地  点
(すべて東京都)
価格前年比変動率
1千代田区六番町6番1外2966.5
2港区赤坂1―14―112689.8
3千代田区三番町6番252286
4千代田区九段北2―3―252146.5
5港区南麻布4―9―61979.4

東京圏は全用途の60.7%に当たる3522地点で上昇。横ばいも含めると8割に達する。

住宅地では埼玉県、東京都、神奈川県が6年ぶりに上昇に転じた。東京23区では下落地点がなく、千代田区、中央区、港区は上昇幅が5%を超えた。20年夏季五輪開催決定に伴うインフラ整備への期待から、中央区、江東区の湾岸部ではマンション需要も堅調だ。

千葉県は横ばい。東京湾アクアラインの値下げやアウトレットモールなどの集積効果で、木更津市が2.3%の上昇となった。

商業地では神奈川県が2年連続の上昇。横浜市と川崎市はすべての区が上昇した。東京都千代田区では丸の内や大手町のオフィスで新規供給が一服。賃料に底入れ感が見られ、空室率が改善している。

大阪圏

大阪圏の商業地は1.4%上がり、6年ぶりに上昇した。住宅地は0.1%下がり、6年連続で下落した。三大都市圏では唯一下落が続く。

商業地ではJR大阪駅北側の再開発で複合施設「グランフロント大阪」が開業した大阪市北区が5.4%、日本一高い複合ビル「あべのハルカス」が開業した阿倍野区が4.3%上がった。京都市はマンションやホテル需要に支えられ、中心部以外でも上昇。神戸市もマンション人気で1.0%の上昇に転じた。

住宅地は阪神間で上昇幅の拡大が目立った。大阪府は堺、茨木市などが13年の下落から上昇に転換。京都市は北、上京、左京区が下落から上昇に転じた。

名古屋圏

名古屋圏は商業地が1.8%の上昇と6年ぶりのプラスに転じ、住宅地も1.1%上昇した。商業地は特に名古屋市が3.7%と高い伸び。再開発が進む名古屋駅周辺の上昇が目立ち、新幹線乗り場に近い地点は全国で最大の上昇率(12.0%)となった。

住宅地では日進市やみよし市などの上昇率が高い。自動車関連産業が集積する西三河地域と、名古屋市の中心市街地との双方に利便性が高く、割安感もあることから大きく伸びた。尾張地域も上昇しており、愛知県内で上昇した市町は、昨年の18から32に増えた。

地方圏

地方圏の住宅地は7割強が下落したものの、上昇地点も前年の508から1306に増えた。宮城県は都道府県別で最高の2.5%の上昇。大震災で被害を受けた石巻市で、津波を免れた高台の地点が3年連続で全国1位の上昇率(15.1%)だった。

商業地では15年春の北陸新幹線延伸開業を控える石川県で、金沢駅西口の駅前広場の整備などが進んでおり、10%以上上昇する地点もあった。人口減少に歯止めがかからない秋田県は住宅地、商業地ともに全国で最も下落幅が大きい。

 ▼三大都市圏の範囲 東京圏は東京都区部全域と多摩地区(奥多摩町、檜原村を除く)、神奈川県の一部(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市など)、千葉県の一部(千葉市、船橋市、市川市、浦安市など)、埼玉県の一部(さいたま市、川越市、川口市、越谷市など)、茨城県の一部(取手市、守谷市など)。
 大阪圏は大阪府全域と兵庫県の一部(神戸市、尼崎市、西宮市など)、京都府の一部(京都市、宇治市など)、奈良県の一部(奈良市、天理市など)。
 名古屋圏は愛知県の一部(名古屋市、一宮市、岡崎市など)と三重県の一部(四日市市、桑名市など)。
 それぞれ首都圏整備法や近畿圏整備法、中部圏開発整備法などの対象地域を指す。

2014年地価公示のあらまし

(1)標準地の設定対象地域

市街化区域および市街化調整区域に区分された都市計画区域約5万2545平方キロメートルと、その他の都市計画区域約4万9124平方キロメートルの区域、ならびに都市計画区域外の公示区域。対象は1378市区町村で、内訳は23特別区、785市、531町、39村(東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う避難指示区域内で調査を休止した市町村を含む)。

(2)標準地の設定数

市街化区域1万8267地点、市街化調整区域1268地点、その他の都市計画区域3825地点、都市計画区域外の公示区域20地点の計2万3380地点。そのうち、避難指示区域内の17地点では調査を休止。市街化区域の用途地域別地点数、地点分布密度は以下の通り。

○住宅地=1万2646地点で、東京、大阪、名古屋の三大都市圏とブロック中心都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は約0.7平方キロメートル当たり1地点。それ以外の地方圏は約1.1平方キロメートル当たり1地点。

○商業地=4727地点で、約0.4平方キロメートル当たり1地点。

○工業地=894地点で約2.3平方キロメートル当たり1地点。

(3)標準地の選定基準

2014年公示地価の都道府県別変動率単位は%、▲はマイナス、カッコ内は前年
住宅地商業地
北海道▲1.0(▲2.5)▲1.3(▲3.2)
青森県▲4.0(▲5.5)▲4.3(▲5.7)
岩手県▲0.9(▲2.7)▲3.5(▲4.8)
宮城県2.5( 1.4)1.7( 0.0)
秋田県▲4.7(▲4.9)▲5.8(▲6.4)
山形県▲1.9(▲3.4)▲2.9(▲4.2)
福島県1.2(▲1.6)▲0.5(▲3.2)
茨城県▲2.5(▲4.0)▲3.2(▲4.8)
栃木県▲2.5(▲3.6)▲3.0(▲4.4)
群馬県▲2.8(▲4.1)▲3.2(▲4.6)
埼玉県0.3(▲1.2)0.5(▲1.2)
千葉県0.0(▲1.2)0.3(▲1.3)
東京都1.4(▲0.3)2.3(▲0.4)
神奈川県0.6(▲0.3)1.5( 0.2)
新潟県▲2.0(▲2.5)▲3.1(▲3.9)
富山県▲0.7(▲1.6)▲1.0(▲2.0)
石川県▲1.9(▲3.0)▲2.8(▲4.0)
福井県▲2.6(▲3.9)▲3.0(▲4.2)
山梨県▲2.7(▲3.1)▲3.0(▲3.8)
長野県▲2.3(▲2.9)▲3.2(▲3.9)
岐阜県▲1.4(▲2.3)▲1.6(▲2.6)
静岡県▲1.1(▲1.5)▲1.0(▲1.6)
愛知県1.1( 0.1)1.8(▲0.2)
三重県▲1.7(▲2.2)▲1.5(▲2.3)
滋賀県▲0.3(▲0.9)0.4(▲0.7)
京都府▲0.6(▲1.3)1.1(▲0.6)
大阪府▲0.2(▲0.9)1.9(▲0.5)
兵庫県▲0.4(▲0.9)▲0.4(▲1.5)
奈良県▲0.5(▲1.1)▲0.5(▲1.6)
和歌山県▲3.5(▲4.7)▲3.0(▲4.4)
鳥取県▲3.7(▲4.9)▲4.9(▲6.3)
島根県▲2.7(▲3.0)▲4.3(▲4.8)
岡山県▲1.3(▲2.1)▲1.2(▲2.4)
広島県▲1.9(▲2.6)▲1.8(▲3.2)
山口県▲2.7(▲3.7)▲4.0(▲5.2)
徳島県▲3.2(▲5.8)▲4.0(▲6.4)
香川県▲3.4(▲4.5)▲4.2(▲5.2)
愛媛県▲2.4(▲2.8)▲2.8(▲3.2)
高知県▲3.0(▲5.8)▲4.0(▲6.8)
福岡県▲0.3(▲1.2)▲0.6(▲1.9)
佐賀県▲3.4(▲4.2)▲4.7(▲5.4)
長崎県▲2.0(▲3.1)▲2.1(▲3.2)
熊本県▲0.6(▲1.5)▲1.9(▲2.8)
大分県▲1.8(▲2.5)▲2.9(▲3.7)
宮崎県▲1.5(▲1.8)▲3.4(▲3.7)
鹿児島県▲3.1(▲3.6)▲3.9(▲4.5)
沖縄県0.1(▲0.6)0.5(▲0.4)
全国▲0.6(▲1.6)▲0.5(▲2.1)
三大都市圏0.5(▲0.6)1.6(▲0.5)
地方圏▲1.5(▲2.5)▲2.1(▲3.3)

標準地の公示地価は一般の土地取引価格の指標になるだけでなく、公共事業用地の取得価格算定や、国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。このため標準地は特に次の点に留意して選定されている。

○代表性=当該区域全体の地価水準をできる限り代表しうるものであること。

○中庸性=近隣地域で土地の利用状況、環境、面積、形状等が中庸のものであること。

○安定性=できる限り土地の利用状況が安定した近隣地域にあり、当該近隣地域の一般的用途に適合したものであること。

○確定性=土地登記簿、住居表示、建物、地形等によって明確に他の地域と区分され、容易に確認できるものであること。

(4)価格の判定

公示対象は毎年1月1日における標準地の単位面積当たりの正常な価格。売り手にも買い手にも偏らず、客観的な価値を表した。正常な価格の判定は、標準地に建物がある場合は建物がないもの、つまり更地として行われる。各標準地について2人以上の不動産鑑定士による評価結果を審査し、必要な調整を行って判定する。2014年の地価公示では2593人の不動産鑑定士が鑑定評価に携わった。

(5)公示方法

19日付の官報で公示される。公示地価などを記載した書面は地図とともに、関係市町村(東京23区と政令指定都市は区)の事務所などに備えられ、誰でも自由に閲覧できる。国土交通省の土地総合情報ライブラリー(http://tochi.mlit.go.jp/)でも閲覧できる。

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