東北百貨店協会会長「自分奮い立たす高額消費好調」 復興の最前線に聞く

2012/3/14付
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東北の百貨店では東日本大震災以降、生活再建需要を受けた好調な販売が続く。東北百貨店協会の会長を務める、仙台市の百貨店「藤崎」の藤崎三郎助社長に消費の先行きと百貨店の今後を聞いた。

――東北の百貨店は震災以降、販売が好調だ。

藤崎三郎助・東北百貨店協会会長

藤崎三郎助・東北百貨店協会会長

「震災当初は生活必需品、しばらくたってからは衣料品など全般的に良かった。足元ではブライダル、新入学など祝い事をきちんとしようという動きも出てきた。50万円前後の高額消費も好調で、海外ブランド品や高級時計が『絆』を確かめたり『負けないぞ』と自分を奮い立たせたりするために売れているようだ」

――今後の見通しは。

「2012年5月までは(震災の影響が濃く残っていた)前年実績を超えそうだ。回復基調に乗った昨年の6月を今年の6月が上回るとすれば本当に『バブル』が起きているということだろう。被災地が復興するまで今後4~5年はかかると見込まれ、6月以降も急に失速することはないとみている」

「被災地で復興のための巨額投資が動くのは間違いないが懸念もある。失業保険が切れ始めたことだ。被災者の多くがサラリーマンだった阪神大震災と違い、今回の震災の被災地には自営業者、個人営業主が多い。そのような人々は自主再建しないと消費、経済活動に入ってこられないという難しさがある」

――復興期に百貨店が果たす役割は。

「安心感の提供だ。津波で全てを流された方が来店されたとき、必要な物がそろっているということだ。津波被害を受けなかった仙台市中心部でも、震災後に商店が開かず買い物に行けなかった恐怖はいまだ残っているだろう。街の中心できちんと店を開いていることが安心感につながる」

――東日本大震災から1年が過ぎた。

「1年がたったからといって、何かが急に変わるわけではない。ただ、震災のことを頭の中に残しておき、経過した1年を自分で見直す基準の日にしてほしいと思う」

――震災2年目にどう臨む。

「足元の復興需要はあっても、今後東北では少子高齢化が進み市場が縮小していくのは間違いない。20~30年後を見据えた百貨店という形態の指針を、ここ1年でつくらなければいけない。(仙台という)街をもっと住みやすくしていくにはどうすべきかということだ。藤崎としては、百貨店の特徴である店頭販売の強みとは何なのか、通信販売や専門店とどう向き合うのかを考える」

「検証は後からしかできないが、昨年の3月11日は第2次世界大戦の終戦に匹敵するような価値観の転換期だったのかもしれない。震災前まで前年割れが続いていた小売業界の状況をドカンと変えたのは一体何なのか。なぜ消費が活発化しているのか。変革の時期であることは確かだ」

(聞き手は仙台支局・増田有莉)

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