日常への号砲(震災取材ブログ)

2011/10/17付
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宮城県松島町で9日開かれた「松島マラソン」に参加した。昨年4月、東京本社から仙台支局に赴任し、当時の上司の勧めで走り始めた私にとって、松島はハーフマラソンを初めて走った思い出の大会でもある。

松島マラソンは距離を短縮して開催された(9日、宮城県松島町)

東日本大震災では、開催地周辺にも津波が押し寄せた。今年は中止も検討されたが、距離を最長10キロメートルに短縮するなどして開催にこぎ着けた。走ってみると、路面が傷んでいたり電柱が傾いていたりと、震災の爪痕が至る所で目に付く。昨年まで参加賞として振る舞われていた松島名物のカキ汁も姿を消した。

参加者数は5150人と、過去35回のなかで3番目の多さだった。宮城県気仙沼市や石巻市など被害が大きかった地域からの参加も目立った。「がんばろう東北」「前に向かって走ろう」と書かれたTシャツを着た人もいた。何よりうれしかったのは参加者の顔が一様に明るく見えたことだ。

震災から数カ月間、街中を走る市民ランナーは姿を消していたが、近ごろは練習する姿を見かけるようになった。被害が甚大だった地域では依然として厳しい生活を強いられている。それでも一部ではスポーツという余暇を楽しむ日常が戻りつつある。

ゲストランナーの千葉真子さんは開会式でこう話していた。「マラソンは走るのが遅くても歩いても、止まらなければゴールにたどり着ける」。被災地の復興も、着実に一歩一歩、前へ進んでいる。(村松洋兵)

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