2019年2月22日(金)

東北農家が連携、コメ生産の多様化を模索 減反廃止後にらむ

2013/11/12付
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東北の有力農家が生産効率化と農地の大規模集約に向けた連携組織「東日本コメ産業生産者連合会」を立ち上げた。戦後の大型干拓で有名な秋田県大潟村を拠点に、コメの販路開拓や若手生産者の育成などに取り組む。東日本大震災と環太平洋経済連携協定(TPP)への参加で東北の農業を取り巻く環境は激変。減反廃止の政府方針も固まるなか、農家主導で農業を成長産業に転換する道を探る。

「明治維新は西日本から始まったが、農業維新は東日本から全国に広めていく決意だ」。連合会の社長に就いた涌井徹・大潟村あきたこまち生産者協会(大潟村)代表取締役は11日、興奮気味にこう話した。門出を祝う設立総会には農業や自治体、金融の関係者ら約250人が集まった。連合会関係者からは「こんなに注目されるとは思わなかった」との声が漏れるほどだった。

政府は6日、5年後をメドに減反政策を廃止すると決めたばかり。自立の道を探る東北の農家の動きを全国が注視する。設立総会でもコメの安定供給や後継者の育成に期待する声があがり、減反を主導してきた農林水産省の元事務次官、高木勇樹氏も「自由に色々なコメを大量に作り、生産現場を変えてほしい」とエールを送った。

中核を担うのは涌井氏と、農業生産法人の舞台ファーム(仙台市)代表取締役で、連合会の専務に就いた針生信夫氏の2人だ。涌井氏は大潟村に入植しておよそ40年、家族経営をベースにコメの加工や直販に取り組んできた。この間、減反に反対し、生産調整にもほぼ応じなかった。針生氏は親から継いだ農家を会社経営に切り替え、外食への卸など農業の6次産業化を進めてきた。

タッグ結成のきっかけは今年5月。舞台ファームが生活用品製造卸のアイリスオーヤマ(同)と精米事業に乗り出し、涌井氏からあきたこまちの供給を受けるのが決まったころだ。針生氏は「個別経営では成長に限界があり、農業の持続もおぼつかない」として連携を打診。減反と一線を画す自由な生産と、企業方式の組織運営を強みに、東北の農業再建に乗り出すことにした。

会社の設立にはこぎ着けた。今後は具体的な成果を求められる。まずはコメを安定確保し、それを加工や主食などの用途に応じて売り切る力をつける必要がある。売り上げ規模を増やすには輸出先も開拓しなければならない。涌井氏らがこだわる零細農家の支援も、具体的な仕組みづくりはこれからだ。資金調達などの金融支援策づくりが課題になる。

協力農家の輪をどこまで広げられるかも難題だ。発起人に名を連ねたのは東北3県の6法人。連合会では、東北の県ごとに3~4の協力法人を作っていく方針で「20法人ぐらいでできるとよい」(針生氏)とみる。生産者の知恵袋として、課題を解決する力量を示すことが同連合会への信頼につながる。

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