海の復興支えるボランティア(震災取材ブログ)
@岩手・宮城

2012/9/21 7:00
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 東日本大震災の直後、がれきで埋もれた岩手県大船渡市の鬼沢漁港。この夏、海底を清掃するボランティアダイバーの案内で岸辺近くを潜り、驚いた。水深数メートルの海底は予想以上にきれいだった。繁茂した海藻の間をかき分け、ようやく食器の破片など震災の傷痕をみつけたほどだった。

漁師と協力して、海中のがれきを撤去するボランティアダイバー

 被災地の海中がれきの撤去で活躍するボランティアダイバー。鬼沢漁港のほか、宮城県南三陸町などで活動する特定非営利活動法人(NPO法人)「三陸ボランティアダイバーズ」(岩手県陸前高田市)はその1つ。地元漁師と協力して作業にあたる。

 代表理事の佐藤寛志さん(38)は岩手県花巻市でダイビングショップを経営していたが、震災で休業を余儀なくされた。昨年4月から、海中のがれき撤去活動を始め、休日は約20~30人が作業にあたる。これまで延べ約2000人が参加し、リピーターも多い。中でも目立つのが首都圏から訪れるボランティアたちだ。

 東京都足立区の会社員、植松若菜さん(30)は昨年6月から月3回のペースで訪れる。東京都杉並区でロープ店を営む山下直哉さん(46)も10回近く参加し、がれきを引き揚げる道具も提供する。

 ボランティアらは金曜日に仕事を終え、車で被災地に向かう。週末に清掃活動に参加し、月曜からまた仕事に戻る。そんなハードスケジュールを続けられる訳を聞いてみた。

 「東北は第2の故郷。人とのつながりができ、訪れるたびに『帰ってきたよ』と思うんです」と話すのは埼玉県川越市の会社員、相沢幸一さん(43)。月2回、金曜日の午後に休暇をとり、被災地にかけつける。東京都練馬区の会社員、黒田槙子さん(37)は「海がきれいになるにつれて漁師さんが元気になっていくのがうれしい」と、昨年8月から月1回のペースで訪れる。震災から1年半がたつが、参加するボランティアの数は減らないという。

 岸辺近くのがれきは取り除かれたが、沖合の海底には車のタイヤや漁船の破片、灯油が入ったタンクなどが沈んだまま。撤去しても波で底が洗われ、またがれきが出てくる。活動は長期戦だ。

 潜るのは夏だけではない。今はニックネームで呼び合うほどの仲になった地元の漁師たちとも、当初は距離感があったという。信頼関係を築けたのは「互いに一生懸命、活動する姿を見てきたから」と佐藤さん。雪の降る真冬も潜り、がれきを取り除いてきた。海から上がると、冷えた体を温めようと漁師はまきストーブをたいてくれた。苦しい時も共に活動を続けてきたからこそ今の関係がある。

 9月の声を聞き、被災地では夕方に吹く風が涼しくなってきた。震災から2度目の秋。やがてまた冬が訪れる。今年も海開きできなかった海水浴場もあれば、漁が再開できない漁師もいる。被災地の海の復興は道半ば。ボランティアらの息長い活動に今後も注目したい。(杉垣裕子)

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