2019年8月25日(日)

原発作業員支える日本代表シェフ(震災取材ブログ)
@福島・広野

2012/4/16付
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福島第1原発の南に位置する福島県広野町で、サッカー日本代表専属シェフの西芳照さんが奮闘している。

昨秋から福島県広野町でレストランを経営する西芳照さん

昨秋から福島県広野町でレストランを経営する西芳照さん

昨秋、警戒区域にまたがるスポーツ施設「Jヴィレッジ」内と、近接する二ツ沼総合公園内の2カ所にレストランを開設。運営会社を設立し、住民票も同町に移した。

東電や原発メーカー、建設会社などの作業員らは懸命に働きながら食事は弁当が中心で、見るに見かねた西さんが動いた。「温かい料理を出してあげたい」。その一念で腕を振るう。「強いて言えば素材が違うくらいで、日本代表でもここでもやることは変わらない」。昼と夜の開店時間の合間には、隣のいわき市まで食材の買い出しにいく。原発事故後、広野町内にあった唯一のスーパーは閉まり、除染関連企業の拠点になっているためだ。

西さんは原発の北側、南相馬市の出身。津波で亡くなった友人もいる。同市小高地区にある実家は警戒区域に指定され、立ち入れなくなった。震災後、しばらくは東京で過ごした。が、元の勤務先だったJヴィレッジの片付けなどに来るたび、過酷な現場と東京との温度差を感じたという。

原発関連企業が対策本部を置く公園内にもレストランを構えた

原発関連企業が対策本部を置く公園内にもレストランを構えた

故郷の福島に戻ることを決意するのに時間はかからなかった。昨春に出版した著書「サムライブルーの料理人」の印税も全額、南相馬市へ寄付することに決めた。

現在、広野町には事故処理や除染などに携わる作業員、技術者らが3000人ほどいる。まだ数は少ないが、地元の人たちも西さんのレストランを利用し始めた。

3月中旬に会った西さんは、さすがに疲れた様子だった。日本代表の遠征への帯同もあって実質無休。ハローワークで求人をしても、人手が集まらない。「正直、大変」と漏らしつつも決意は固い。「もう後戻りはしない。このまま続ける」。きっぱり語る口調にこちらが励まされた。(舘野真治)

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