長野・栄村「復興元年」目指す 大地震から1年

2012/3/10付
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長野県栄村が昨年3月12日、最大で震度6強の地震に見舞われてから約1年。村内の応急仮設住宅には今も49世帯104人が暮らし、農地への被害や人口減少などなお多くの課題に直面している。一方、村内唯一の生鮮食料品店が開店するなど復興への兆しも見え始めた。

「もう年だから。建て替えは無理だねえ」。仮設住宅で妻(70)と暮らす上倉直人さん(68)は肩を落とす。地震で自宅は全壊。秋までに村が建てる予定の災害公営住宅へ入居を希望している。

栄村の人口は2300人弱。住宅の被害は全壊33棟をはじめ688棟に上った。震災後に村での暮らしをあきらめ22世帯33人が転出。住民票は残すものの村外で暮らす人が20世帯42人いる。島田茂樹村長は「今年を『復興元年』に位置づける」と語るが人口減少という厳しい現実が横たわる。

農地への被害も大きい。ひび割れや水路の損壊で、昨年は村全体の2割にあたる48ヘクタールの水田で作付けが不能になった。今年はすべての水田の復旧を目指し工事を進める予定だが、大雪で排雪が遅れており「(工事完了は)作付けに間に合うかギリギリの状態だ」(村災害第二係)という。

人口の流出は農業や地域の営みに影を落とし始めた。震災前は17世帯だった小滝集落では、仮設住宅への入居や村外への転出で現在、暮らす人が9世帯に減少。水田7ヘクタールのうち3ヘクタールの作り手が一気にいなくなった。

耕作をやめると雑草が増え、ほかの水田にも影響が出る。樋口正幸区長(53)は「震災直後は集落を盛り上げなければという思いで皆頑張っていたが(全壊の住宅が取り壊された)秋以降、その意欲が失われてきた」と不安を語る。

一方で明るい話題もある。村内で唯一、生鮮食料品を取り扱う「がんばろう栄村 駅前店」が1月末、開店した。村内に2店あった生鮮食料品店は被災し、廃業。このうち1店を母親が営んでいた食品卸「田舎工房」の石沢一男社長が森宮野原駅前で開業した。生鮮食品や日用品など1000点超をそろえる。

極野地区に住む女性(57)は「震災前は商店街の店に買いに来ていた。近くにあると助かる」と安堵(あんど)の表情。隣の新潟県津南町から買い物に来ていた中島洋子さん(53)は「早く復興してほしい。また来ます」と話す。採算ラインの1日20万円にはまだ遠く及ばないが、石沢社長は「商店街に活気が出ないと復興にならない」と力を込めている。

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