「ハッカソン」多彩に 新製品開発や教育・採用にも
編集委員 田辺省二

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2014/7/11 7:00
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「ハッカソン」というイベントをご存じだろうか。プログラム開発の「ハック(Hack)」とマラソン(Marathon)を組み合わせた造語で、複数の技術者が1カ所に集まり、徹夜覚悟でソフトを完成させるイベントを指す。IT(情報技術)業界発祥だが、最近は商品開発や人材教育などに活用する動きが広がってきた。「ハック」と聞いて、コンピューター犯罪の「ハッカー」を思い出すのは古い発想。今はアートですら「ハック」される時代だ。

■過疎の町を救え

全国から集まった大学生が、美波町活性化のアプリ開発に挑んだ(東京都港区)

全国から集まった大学生が、美波町活性化のアプリ開発に挑んだ(東京都港区)

6月29日、東京都港区の日本マイクロソフト本社会議室。3日間にわたった「地域活性化ハッカソン」は最終日を迎え、会場は熱気にあふれていた。

この日のテーマは徳島県美波町の活性化。最近はコールセンターやIT企業の立地が目立つとはいえ、高齢化や若者の流出が目立つ過疎の町。町名が示すようにウミガメが産卵に来る静かな砂浜もあるが、観光地としては知る人ぞ知る存在だ。

この美波町をITを使って元気な町にしよう――。全国から集まった初対面の男女28人の大学生、専門学校生が9のチームに分かれ、技とアイデアを競った。

プレゼンテーションを経て最優秀に選ばれたのはクラウドファンディングを利用し空き家の解消を目指すアプリ。「単なる物件仲介でなく、資金計画にまで配慮した」と開発に加わった青山学院大学大学院の松井仁人さん。審査員で、美波町に本社を置くサイファー・テックの吉田基晴社長は「完成度が高く、すぐにでも採用したい作品があった」と驚く。

企業向け採用支援サービスのギブリー(東京・渋谷)はこうしたハッカソンを定期開催している。「学生がプログラムを学びたいと思っても、技術を磨く機会が少ない。学生のスキルアップの場としてハッカソンを開催している」と山根淳平・エンジニアリソースマネジメント事業部部長は狙いを話す。8月にはゲームをテーマに神奈川県逗子市でも開く。

「ハッカソン」はITエンジニアが交流し技術を研さんする場として2000年前後から米国で始まり、国内でもIT業界で盛んに開催されている。楽天やヤフーが社内ハッカソンをしばしば開催。「活性化ハッカソン」に協力したマイクロソフトは7月末、社員が参加する世界規模のハッカソンを開催するという。

■キャンプ用品の開発も

参加者が独自のアイデアや技術を持ち寄り、短期間に一定の形に仕上げるハッカソンの手法は他業界でも応用可能だ。商品開発や経営の新機軸を模索する他業種の企業がハッカソンに注目する理由がここにある。

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