平泉だけじゃない 釜石の歴史遺産(震災取材ブログ)

2011/8/12付
保存
共有
印刷
その他

ユネスコの世界遺産登録が決まった平泉町に、同じ岩手県の釜石市がライバル意識を燃やしている。がれきの残る田園地帯を抜け、曲がりくねった道を1時間近く車で登った山中に「橋野高炉跡」がある。明治維新前の1858年に完成したとされるこの高炉は、現存する洋式高炉では日本最古の誉れ高い。

現存する日本最古の洋式高炉があったこの場所にはかつて、1000人が働いていたという(岩手県釜石市の橋野高炉跡)

作ったのは「近代製鉄の父」と言われる大島高任。深い森で視界が開けると、小高い丘の上に整然と並び建つ一、二、三番までの高炉の石組みや採石場、人足の長屋跡。最盛期には従業員1000人、牛や馬300頭が行き交い、年間930トンの鉄を生み出した。

新日本製鉄の釜石製鉄所に勤める千葉栄公さんは「近代製鉄発祥の地というと『官営八幡製鉄所』の北九州というイメージが強いですが、私の中ではこちらが先です」と言い切る。「九州・山口の近代化産業遺跡群」の1つとして登録を目指してはいるものの、一番の座は譲れない。

新日鉄釜石は津波の直撃を辛くも免れ、設備の稼働率も震災前に近い水準に戻ってきた。製鉄所の象徴だったはずの高炉は姿を消して久しいが、フロンティアランナーの系譜を継ぐ名門にエールを送りたくなった。(市原朋大)

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]