震災1年半 被災地が問うニッポン再生の原点
進む人口減、見えぬ新生ビジョン…

(1/2ページ)
2012/9/11 2:00
保存
共有
印刷
その他

東日本大震災が発生して1年半が過ぎた。復旧の足取りは鈍く、被災地の将来像を描く作業も道半ばで停滞している。人口が減少に転じる中で迎えた大震災からの復興は、日本全体の再生と重なる。今こそ原点に立ち返るときだ。

■市の計画に注文

更地になった市街地は雑草に覆われていた(2日、宮城県南三陸町)

更地になった市街地は雑草に覆われていた(2日、宮城県南三陸町)

岩手県釜石市。市北部の箱崎半島の海岸には津波で流れたがれきがなお流れ着く。人口約2000人のこの漁村で被災者が市の復興計画に待ったをかけた。

住民は65歳以上の高齢者が3割を超す。震災前から若者の流出が続いていた。そこを津波が襲った。昨年11月にこの地域にある8集落の住民が集まり、集落の壁を越えて復興を進める協議が始まる。水産加工施設を共同運営するなどの計画も持ち上がった。

市が昨年末に決めた復興計画は8集落バラバラの高台移転。「この計画ではいずれ住む人がいない小さな集落ができあがる」。元会社員の柏崎龍太郎さん(79)らは非営利組織(NPO)を立ち上げ、地域全体を見据えた独自計画を練る。

日本の人口は2005年に減少に転じた。被災地は一足早くこの課題に直面した。国土交通省が昨年2月に示した試算では50年の東北地方の人口は05年と比べて40%減る。人口が増える時代を引きずって施設を元に戻すだけでは、活力ある地域経済は戻らない。

「補助金を返上したいのだが」。福島県の金融機関の支店長は取引先からこんな相談を受けた。同県は震災後、工場を新増設した企業に投資額の3分の2を負担する制度を導入した。条件は最低5人の新規雇用。事業拡大のめどが立たず、補助金が企業の首を絞める悪循環も生まれ始めた。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他


関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]