東北大、災害研究で世界へ 研究所設け減災対策提案

2012/4/5付
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 東北大学が東日本大震災を教訓にした災害研究を本格始動した。被災地の地域医療網の構築を目指す「東北メディカル・メガバンク機構」は10年計画で約15万人の遺伝子(ゲノム)情報を集め、災害医療に役立てる。総事業費は約500億円を見込む。約70年ぶりの新研究所となる「災害科学国際研究所」も発足。災害の発生メカニズムや防災について研究し、成果を世界に発信する計画だ。

 メディカル・メガバンク計画は被災地の新生児と両親、祖父母の3世代の遺伝子情報をデータベースに蓄積する。地域住民からもデータを集め、合わせて15万人分の資料を分析して予防医療などに役立てる。

 災害時にどのような病気が多く発生し、どう予防するかは災害研究の1つの柱になる。被災地で生まれた子供の疾病や地域住民の生活習慣病などの発症状況を分析し、遺伝子情報との因果関係を調べる。初めの5年間でゲノム解析の仕組みを確立し、その後5年間で疾患と遺伝子の関係を分析する研究に進む計画。

 宮城県の地域病院のほか、岩手医科大学とも連携し、岩手県にも協力を要請する。研究と同時に被災地の医療体制の拡充にも役立てる方針で、大学から若手医師を交代で派遣する体制をつくる。山本雅之機構長は「大学医局が支える地域医療の新しい形を始めたい」と話す。

 一方、災害科学国際研究所は災害リスクや都市再生など7部門、計36分野について研究を進める。教員数は兼務を含め73人で発足し、2年で約80人規模まで増やす方針。2014年には大学敷地内に5階建ての研究施設も完成する。

 10年後に巨大災害に対する減災対策を提案することを目指し、今後発生が予測される東海地震や首都直下地震への備えにする。文系と理系の垣根を越えた研究を進める狙いで、歴史学の平川新教授が所長に就任した。平川所長は「大災害に立ち向かうには研究者の力不足、限界があった。大いなる反省を踏まえ災害に強い社会を目指す」としている。

 両事業は震災を受けて東北大が進めている7つのプロジェクトのうちの2つ。

 4日記者会見した里見進総長は「日本は災害が頻発する宿命を負う。研究で得た情報を日本から世界に発信していく」と意気込みを語った。

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