十和田観光電鉄が廃線へ 沿線市町が支援拒否
十和田観光電鉄(青森県十和田市、白石鉄右エ門社長)が十和田市と三沢市を結ぶ鉄道について、沿線3市町は3日、同社が求めていた財政支援は困難との結論を伝えた。白石社長は記者会見で「鉄道の維持存続は厳しい」と述べ、バスに転換する考えを示した。
十鉄線の休廃止は今月中旬に正式決定する。十和田市駅ビルは再開発のため今年度末をめどに退去する必要があり、それに前後して鉄道からバスに切り替える見通しだ。
十鉄線は十和田市―三沢駅の11駅、14.7キロメートルを結ぶ。かつては年100万人以上が利用したが、自家用車の普及や少子高齢化が響いて赤字となり、2010年度の輸送人員は45万9000人に減った。現在の利用者の大半は学生だ。
昨年12月に延伸開業した東北新幹線は十鉄線と乗り継ぎ駅がなく、乗客減に拍車がかかった。同社は5億円余りの支援を要請したが、3市町は今後も経営好転が見込めないため応じなかった。
十和田観光電鉄は国際興業グループで、鉄道事業の比重は「全体の5%程度」(白石社長)。今後は鉄道の代替路線を含めてバスや観光事業に力を入れる。