東北の清酒、復興応援特需 4月以降、3県の出荷2~3割増

2011/9/3付
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東北の蔵元が製造する日本酒の販売が好調だ。東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城、福島3県にある蔵元の出荷量は、流通網が回復した4月以降、前年同期比2~3割増で推移。復興を応援しようと全国各地の小売店や飲食店で東北の酒を扱う動きが広がったことが、消費拡大を後押しした。一方、在庫の破損や製造設備の被災などで、一部の蔵元では商品が品薄になるケースも依然、残っている。

日本酒造組合中央会東北支部(仙台市)によると、日本酒の出荷量を示す課税移出数量は東北6県の蔵元で、4~6月に1万7102キロリットルと前年同期比で11%増えた。東日本大震災の被害が大きかった被災3県は24%増。宮城県で48%増、岩手県で23%増と伸びが目立ち、風評被害の懸念が続く福島県でも12%増だった。

仙台伊沢家勝山酒造(同)では日本酒の売り上げが4月以降、前年同期に比べて3割前後増えた。4月は関東の百貨店、5月以降は仙台市内の酒販店による復興企画によって販売が伸びた。「黄金沢」の蔵元、川敬商店(宮城県美里町)も4月以降、前年同期比で1割前後増加。宮城県産米の「ひとめぼれ」や「蔵の華」を使った日本酒が人気で、「震災から数カ月で売り切れた商品もある」(川名正直社長)という。

岩手県の南部美人(二戸市)では従来の取引先である卸や酒店だけでなく個人からも注文が入るようになった。出荷できる量は決まっており、同社は「売りたくてもモノがない状態で、新規取引には対応できない」という。

福島県の奥の松酒造(二本松市)でも4月以降の売上高が、前年同期比で2~3割増えた。首都圏以西からの注文が増えているという。在庫が少なくなってきたため、例年は10月に始める仕込みを1カ月前倒しする。

小売店や通信販売での売れ行きも堅調だ。酒類店チェーン、やまやは「一ノ蔵」「雪の松島」といった宮城県産の日本酒の売り上げが、震災以降の半年間に前年同期に比べて2倍以上に。百貨店の藤崎(仙台市)は6~8月、宮城県の地酒の販売が前年同期比で7割増えた。「土産や贈り物として購入する人が多い」という。

楽天が運営する仮想商店街「楽天市場」では日本酒の売上高が4月に前年同期比4割増、5月以降も同2割増で推移している。8月15~21日の日本酒販売のうち上位10位に東北産の5商品が入った。

復興応援の効果で商品の売れ行きは好調だが、被災した蔵元を取り巻く現状は厳しい。同酒造組合に加盟する被災3県の蔵元114社のうち25%に当たる28社が震災で酒蔵が全半壊した。在庫の破損や製造設備の被災などで今も品薄の状態が続く蔵元もあるほか、津波で製造設備が流失した蔵元では、再建の見通しが立っていない例も少なくないという。

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