埼玉県内の路線価5.2%下落 10年、県南部の落ち込み続く

2010/7/2付
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関東信越国税局が1日発表した埼玉県内の2010年分の路線価(1月1日時点)は、住宅、商業、工業地を含む標準宅地平均(1平方メートル当たり)が10万9000円と、前年に比べ5.2%下落した。下落は2年連続。所沢市やさいたま市浦和区など県南部で下落が続くが、駅に近い好立地の住宅用地などでは反転の兆しも見え始めた。

県内1万8200カ所を調査した。平均路線価の下落率は09年の3.3%から拡大。県内の税務署ごとの最高路線価は15地点すべてで下落した。

下落率が最大だったのは「所沢プロペ通り」の14.7%。県南部での下落が目立ち「浦和駅西口ロータリー」や川口駅東口の「駅前産業道路」は8%以上下落した。230万円で路線価が県内最高の「大宮駅西口駅前ロータリー」も8.0%下落した。

景気の先行きが不透明な中、小売・外食産業も新規出店意欲は乏しい。不動産鑑定士の切敷幸志氏は「所沢はオフィス需要も少なく、特に下落が大きかった」と分析する。

東京に近い県南部の商業地は07年前後に外資系ファンドや不動産投資信託(REIT)の資金が流入、地価が大幅に上昇した。このため、08年秋のリーマン・ショックに伴う「ミニバブル」崩壊のつめ跡がいまだに色濃く残っている。

一方、NHKの朝の連続テレビドラマの効果で観光客が増えている「川越駅東口駅前広場」は4.1%の下落にとどまった。ミニバブルの影響が少なかった秩父や本庄などでも下落幅が小さかった。

足元では地価反転の兆しも出ている。住宅メーカーのポラス(越谷市)の営業担当者は「地価に値ごろ感が出てきて、浦和やさいたま新都心などの駅から近い住宅地では春ごろから入札競争が激化している」と話す。

JR京浜東北線沿線を中心に大手不動産会社によるマンション開発も相次いでおり「7月時点では昨年よりも実勢価格が上昇している土地も多い」という。

2年連続で県内の路線価が下落した状況を、埼玉りそな産業協力財団の井上博夫主席研究員は「低成長が続く中で、土地から期待される収益が縮小していることが最大の要因だ」と分析する。景気の先行きへの企業の不安感がぬぐい切れておらず、一部住宅地にみえる地価反転の兆しが工業・商業用地にまで広がるには時間がかかりそうだ。

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