テスラの申し子、夢を力に 米起業家に流れる独創性
スタートアップスinUSA(2)

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2014/4/2 3:30
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シェスラCEO

シェスラCEO

「荒唐無稽」「できるわけがない」――。懐疑的な意見が多かったが「おかげで弱点や課題に気づき、克服できた」(グラス)。むしろ夢にかけてくれた人が多い。これまでに200万ドル(約2億円)の資金を獲得。インド財閥タタ・グループ名誉会長、ラタン・タタの会社も出資した。

■画面が膨らむ

ひとつのイノベーションが次のイノベーションにつながる数珠つなぎの循環も生まれている。

「なんて使いにくいんだ」。アップルがアイフォーンを発売した2007年、誰もがこの革命的な製品に賛辞を送る中で、クレイグ・シェスラ(41)は違った感想を持った。長年使い慣れたブラックベリーから乗り換えたアイフォーンの入力への不満はひらめきに変わった。

タクタスの技術を使ったタブレット

タクタスの技術を使ったタブレット

「スマホの液晶画面にもキーボードのような凹凸を浮き上がらせたい」。08年にタクタス・テクノロジー(カリフォルニア州)を設立すると"ボタンの触感"を生み出す画期的な技術を考案する。パネルの背面にモーターを付け、タンクからオイルを押し出す。すると、あら不思議。画面の表面フィルムにキーボードのような膨らみが浮かび上がるのだ。

特許などの取得を進める一方で投資家を探したものの、創業した08年は米金融危機のまっただ中。投資家に100件以上電話したが、返答は「NO」ばかりだった。それでもベンチャーキャピタル(VC)などが催すイベントには必ず顔を出した。「09年に個人のエンジェルから資金が入り、その紹介でVCのトムベストの資金を得て軌道に乗り始めた」と振り返る。

飛躍のきっかけは13年に米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。タクタスが試作品を展示すると米CNNテレビなど多くのメディアが取り上げて称賛した。米自動車大手から出資を受け、世界スマホ大手との取引成立にもつながっていった。

3月中旬には来日し、日本の大手メーカーとも接触。来年には日本でも浮き出すキーボードのついたスマホが登場しそうだ。

苦しい時代が長かった。英国の東芝の研究所に勤めていた経験を持つ。タクタスの技術をけん引する共同創業者と知り合ったのは東芝勤務時代。「技術がマーケットを作るという大切な考え方を学んだ」(シェスラ)と話す。世界が注目するタクタスには、粘り強い日本発のものづくりの魂も宿っている。

独創性は起業家の要だ。スタートアップの奇想天外なアイデアこそが世の中を変えていく。=敬称略

[日経産業新聞 2014年4月2日付]

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