2019年5月24日(金)

生物模倣で大進化、デジカメの「目」 ソニーの挑戦

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2014/7/3 7:00
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また平面CMOSセンサーの場合、レンズを通った光はセンサー中央部では垂直に入射するのに対し、周辺部では斜めに入射する。このため写真の周辺部が暗く写ってしまう。これは「周辺減光」と呼ばれる課題だが、曲面CMOSセンサーではセンサー全面で光が垂直に入射するため、この問題を解決できる。

レンズも簡略化できるという。曲面CMOSセンサーでは、像面湾曲収差をレンズ側で補正する必要がないため、「スマホ用のカメラではレンズ枚数を従来の5枚から3枚に減らせた」(糸長氏)。カメラの小型・軽量化、低コスト化にも有効な技術といえる。

■フルサイズからスマホ向けまで試作品は完成済み

ソニーは対角43ミリメートルのフルサイズ一眼レフ用から対角11ミリメートルのスマートフォン用まで、さまざまな寸法の曲面CMOSセンサーを試作済みだ。フルサイズ品の解像度は2400万画素と市販品と変わらない。「信頼性の評価も行っている」(糸長氏)ことから、早期の実用化を視野に入れた技術とみられる。

「曲面CMOSセンサーを生産する基本的な技術も確立済み」(糸長氏)という。詳細は明らかにしないが、「熊本の前工程(ウエハー処理)技術と、大分の後工程(パッケージ組み立て)技術を組み合わせ、これまでにない生産手法を確立した」(糸長氏)。CMOSセンサーを曲げるための「ベンディング・マシン」と呼ぶ製造装置も独自に開発した。

試作した曲面CMOSセンサーで撮影した画像(出典:ソニー)

試作した曲面CMOSセンサーで撮影した画像(出典:ソニー)

曲面CMOSセンサーの課題は、専用レンズが必要になることと、高倍率のズームレンズを設計しにくいこと。後者に関しては「画像の一部を拡大する電子ズームを活用したい」(糸長氏)としている。

ソニーは2009年にセンサー構造の上下を逆転させた「裏面照射型CMOSイメージセンサー」によってカメラの高感度化を進めた。さらに14年4月には、世界最高の感度を実現したレンズ交換式デジタル一眼カメラ「α7S」を発表するなど、一貫して高感度技術の開発に力を入れている。裏面照射型に続く高感度技術として注目を集めそうだ。

(木村雅秀)

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