2018年7月17日(火)

生物模倣で大進化、デジカメの「目」 ソニーの挑戦

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2014/7/3 7:00
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 ソニーは生物の目の構造をまねた曲面形状のイメージセンサーを開発した。デジタルカメラなどに搭載するCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーは平面状が当たり前だが、今回のセンサーは中央部がくぼんだ半球状。まさに眼球の奥で像を結ぶ網膜を模した。暗い場所でも明るくノイズの少ない画像を撮影でき、レンズの小型・軽量化や低コスト化も可能になるという。CMOSセンサーで世界シェア首位の実力を証明した格好だ。

■生物の目をまねてセンサーを曲げてみた

ソニーは中央部がくぼんだ半球状のCMOSイメージセンサーを開発した(出典:ソニー)

ソニーは中央部がくぼんだ半球状のCMOSイメージセンサーを開発した(出典:ソニー)

 「最初の発想は生物の目をまねることだった」――。同社セミコンダクタテクノロジー開発部門の糸長総一郎デバイスマネジャーは曲面CMOSセンサーを開発した経緯をこう説明する。「なぜ目が生まれたのか、なぜ目は丸くなったのか、生物学の本で学ぶところから着手した」(糸長氏)。曲面形状にするとさまざまな課題を解決できることは、その後で気づいたという。うまくいく確証はなかったが、「このアプローチが正しいことは生物の目が証明済みだ」と周囲を説得しながら、開発を進めた。

 曲面CMOSセンサーは、専用レンズと組み合わせることで大きく2つの利点を生み出す。1つは暗い場所でもノイズが少なく明るい画像を撮影できること、もう1つはレンズを小型・軽量化、低コスト化できることだ。

 暗い場所でも明るい画像を撮影するためには、口径の大きな明るいレンズ(F値の小さいレンズ)を使うことが有効だが、これまで画面周辺の画質低下が目立ちやすかった。従来の平面CMOSセンサーの場合、センサー中央部でピントを合わせると、センサー周辺部ではピントがわずかにずれて画像の分解能が落ちてしまうからだ。これは「像面湾曲収差」と呼ばれる現象で、レンズからの距離がセンサー中央部と周辺部でわずかに異なることに起因している。そして、この問題は口径の大きな明るいレンズほど顕著になる。

 これに対し糸長氏らが開発した曲面CMOSセンサーは、レンズからの距離がセンサー中央部と周辺部でほぼ等しくなる。像面湾曲収差が抑えられ、より明るいレンズを使えるようになる。例えばレンズのF値を従来の2.4から2.0に明るくしても、画像の分解能は変わらない。その結果より明るい画像を撮影できるようになる。これは、レンズを含むカメラシステム全体の感度が、センサー中央部で従来比1.4倍、周辺部で2倍に高まったことに相当するという。

 さらに、硬いシリコンを曲面状に曲げると、シリコンの電気特性が変化し、ノイズの原因となる暗電流を従来比5分の1に低減することができた。これによって、暗い場所でもノイズの少ない画像を撮影できる。

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