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日本の通販サイト、アジア進出へ浸透力鍛える

(村山らむね)

東南アジア進出を考える日本人の集まりがシンガポールであった。現地では日本から飲食関係の進出が盛んで、日本食の定着ぶりは目覚ましい。特にラーメン人気はすっかり浸透、街のあちこちにラーメン屋がある。現地の伊勢丹や高島屋で開かれる「北海道展」は地元の人にも大人気で、北海道だけでなく「十勝」なども地域ブランドとして最近は元気だ。

100人以上が働くシンガポールの楽天アジア本社オフィス

EC(電子商取引)の分野でも日本からの進出に注目が集まる。昨年12月開業の楽天シンガポール。運営する統括会社の楽天アジア本社はビジネス街の中心地にあるオフィスビルで100人以上が働き、うち約20人がEC事業を担当。開業から4カ月で200店舗弱の出店を得た。

購入者はシンガポール在住邦人よりも現地人が既に多い。ファッションやベビー用品、化粧品に加え、カニなどの生鮮食料品も人気が高い。「先行する韓国系のQoo10(キューテン)に追いつくには、商品数の拡充が鍵になる」。楽天の江尻裕一執行役員・アジア地域ビジネス統括グループ長は話す。そもそもシンガポールは輸入文化なので海外品を買うことに抵抗がない。今後も非常に有望な市場だ。

今年はシンガポールで楽天の優秀ショップを表彰する制度「ショップ・オブ・ザ・イヤー」の受賞者が対象の海外研修もあった。今回は日本のほかアジア各地や欧州からも頂点を極めた出店者らが集まった。楽天は2007年の台湾進出を皮切りに、タイ、インドネシア、マレーシアで現地のECモールを続々と開設してきた。東南アジア進出を考えるネットショップにとって楽天はプラットフォームとして魅力的な存在になりつつある。

 日本のネットショップもアジア進出への関心が高い。3月に宮崎市で開かれたネットショップ店長らの会合。アジア進出に関する簡単なセミナーで講師役を務めたところ反響は大きく、皆が積極的だった。

日本国内の市場はどう考えても右肩下がり。売り上げを維持するには国内のEC化率を高める一方で、日本以外に買い手を求めるしかない――。そんな危機感がショップオーナーにもある。今後何年かはアジア進出の足がかりを求める動きが一段と盛んになるだろう。

 むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

何カ国かの市場調査をし、現地法人を立ち上げてオフィスを借りるエネルギーは相当なもの。だが、楽天の海外ショップに出店できれば苦労はかなり軽減される。有料だが翻訳サービスもある。

ほとんどの地域で税務上の理由から現地法人を設けないと楽天の海外ショップには出店できないが、楽天シンガポールでは現地法人でなくても出店が可能。楽天は今後、アジアから世界へ進出する際の「ワンストップ・ソリューション」として利用してもらおうと様々な工夫を凝らす考えだ。

もちろん、結果を出すには楽天がモールとして提供するサービス以上の努力も必要になる。台湾楽天市場でショップ・オブ・ザ・イヤーを連続取得しているサプリメント店は、自ら現地スタッフに翻訳させてコンテンツの現地対応を強化している。こうした現地化の努力は不可欠だろう。

シンガポールで印象的だったのがエスカレーターの速さ。スピードに付いてこれない人は置いていくと言わんばかりだ。また子供向け玩具店の多さも目立ち、子供用品が相対的に市場で存在感を持つ。未来がある地域だとつくづく思った。

アジア各地に敏感なアンテナを高く立てることは、ネットショップに限らず全ての日本人にとって急務だと強く感じた。(通販コンサルタント)

[日経MJ2014年5月2日付]

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