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ハラル情報、アプリで発信 ムスリム誘客の決定打

(村山らむね)

東南アジアからの訪日客が増え、日本の観光業に大きなインパクトをもたらしている。日本政府は昨年7月にタイ、マレーシアからの観光客に対するビザ取得を免除。現在はインドネシア、フィリピン、ベトナムからの観光客にも同様の措置を検討中だ。2020年の東京五輪を控え、東南アの観光客を迎える環境整備は一段と進むだろう。

「ハラル」と証明された和牛を使ったしゃぶしゃぶを楽しむムスリムの人たち(都内の和食店)

その中で注目を浴び始めたのが「ハラル」だ。イスラム教では口にしてよい食品を「ハラル」と呼び、逆に口にしてはいけないものを「ハラム」という。豚肉や酒など戒律により口にしてはならない原料を規定。加工や調理の方法にも細かい作法を求めている。

日本が観光立国を目指すなら、ハラル対応は避けて通れない。インドネシアはイスラム教徒(ムスリム)人口が世界最大の国であり、マレーシアも多宗教国家ながら国教はイスラム教だ。

こうした国ではムスリムの人が原材料を細かく吟味しなくても安心して購入できるよう、「ハラル認証マーク」が付いた食品が流通している。日本でも現在、急増が予想されるムスリム観光客が安心して食事ができるよう対応するための模索が始まっている。

その1つがスマートフォン(スマホ)アプリによる情報提供だ。ハラルに対応したレストランの検索や、食品などの商品バーコードを読み込むとハラル対応しているかを瞬時に判断できるアプリもある。最寄りのモスク(イスラム教の礼拝所)をすぐに探し出せる位置情報アプリなど、ムスリムの生活や観光を支援するアプリが世界各地で多数登場している。

世界的にユーザー数が大きいのは米国発の「Zabihah(ザビハー)」だ。レビュー投稿型アプリで、位置情報と組み合わせ、最寄りのハラル対応のレストランや小売店、礼拝所など1万5000カ所以上の口コミ情報を閲覧できる。

日本のレストランや礼拝所なども多数投稿されている。例えば首都圏では59のレストラン、14の商店、17のモスクが現時点で参照できる。

日本発アプリもある。早稲田大学在学中の佐藤智陽氏が開発した「islamap(イスラマップ)」(http://www.islamap.com/)だ。ムスリムの留学生が食事に困っているのを見て起業したという。現在は口コミ情報を集め、使いやすさを磨いている。

 むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

イスラマップはハラル食品専門通販サイト「スマイルインフィニティ」(http://www.smile-8.jp/)と共催で「ハラルフードパーティー」を不定期に開催している。日本在住のムスリムやハラルに関心がある日本人が集まり、ハラル対応食品を開発する日系食品メーカーやレストランが提供する食品を試し、情報交換する。鶏肉を使ったすき焼きや、日本酒を含まないしょうゆ、などなど。最近では立ち食いそばチェーン「富士そば」が開発中の「ハラール親子丼」や「グリーンカレーそば」などを提供。ハラル対応の奮闘ぶりを披露していた。

ハラルの基準には非常に厳格なものもあり、例えばサウジアラビアでは食品加工工場はオーナーも従業員もムスリムであることが必要という。だが比較的緩い基準なら日本でも対応が可能だ。今後、ムスリム観光客を受け入れられるレストランや、ハラル食品の輸出企業は、どんな基準を取り入れるべきかを考える必要が出てくる。

訪日客が増えそうなマレーシアやインドネシアの基準、またムスリム観光客の受け入れで実績の豊富なシンガポールなどの対応を手本にするのがいいだろう。宗教に根ざした対応なだけに、表面的にハラルを学ぶだけでなく、イスラム教に対する敬意をはらった対応が望まれる。(通販コンサルタント)

[日経MJ2014年5月30日付]

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