2017年11月20日(月)

歯ブラシが虫歯を発見 スマホで変わるヘルスケア
ブランドン・ヒル(米ビートラックスCEO)

コラム(ビジネス)
2014/6/1 7:00
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 先日、シリコンバレーの中心地にて開催された、ものづくりに関するイベント「Maker Faire」では、多くのハードウエア製品が展示された。このイベントに代表されるように、最近のシリコンバレーではハードウエアスタートアップが話題になっている。

■疾患防ぐデバイスやアプリが脚光

札幌市生まれ。サンフランシスコ州立大学デザイン学科在学中からウェブサイトのデザイナーとして活躍。卒業後の2004年にブランディング・ユーザーエクスペリエンスデザインを手掛けるビートラックスを設立。趣味はバイク、テニス、ロック音楽。

札幌市生まれ。サンフランシスコ州立大学デザイン学科在学中からウェブサイトのデザイナーとして活躍。卒業後の2004年にブランディング・ユーザーエクスペリエンスデザインを手掛けるビートラックスを設立。趣味はバイク、テニス、ロック音楽。

 テクノロジーの進化により、ソフトウエアだけでなく、ハードウエアの製作コストも格段に下がった。それに加え、インターネットやスマートフォン(スマホ)といった既存のインフラを連動させることで、様々なビジネスに大きなパラダイムシフトが起こっている。特に医療や健康などのヘルスケア業界においては、一般消費者が利用可能なデバイスを通して、これまでは考えられなかったようなタイプのビジネスが生み出されている。

 国民皆保険が実現していない米国では、医療に掛かる費用が非常に高く、シリコンバレーを中心としたテクノロジー業界も、疾患を事前に防ぐことが可能になるデバイスやアプリに大きな注目が集まっている。身体の状態の把握や運動量の計測を目的とした、米フィットビットや米ジョウボーンなどが開発する、身につけられる「ウエアラブル」デバイス。そして近日の発売が噂される、米アップルのウエアラブルデバイス「iWatch(アイウオッチ)」も、ユーザーの健康管理を主な目的としていると予想されている。

 これらのデバイスは、スマホと連動することで血圧や脈拍、そしてストレスレベルにいたるまで、家庭で簡単にユーザーに分かりやすい方法で計測・表示できる。今までは病院などの医療機関でしか得られなかったデータだ。データを収集・解析するクラウドサービスとの連携により、ユーザーは日々の活動を記録することで、より健康な日々を送る手助けを簡単に得られるようになった。

 そして次世代ヘルスケア製品のなかでも、最近話題を呼んでいるのが「ビームブラシ」という歯ブラシだ。たかが歯ブラシと思うかもしれない。ところが歯ブラシは健康な人々でも必ず毎日利用するアイテムであり、同時にここ数十年間ほとんど進化していない製品でもある。そんな歯ブラシをスマホと連動させ、ネットにつなぐ事で、全く新しいイノベーションを生み出そうとしている。

■ビッグデータ蓄積で2次的なビジネスも

 この製品を利用することで、ユーザーの歯磨きに関するデータがスマホに送られ、インターネットを通じて、指定の歯科医や保険会社に届くという仕組みだ。そして、歯磨きの頻度や方法だけではなく,歯ブラシに内蔵されているセンサーにより、虫歯の可能性のある場合も事前に感知できるようになっている。

 これにより、ユーザーには虫歯を予防するきっかけを提供し、歯科医には検診希望者や患者の獲得支援を、そして保険会社には治療費用の低下を提供するという、まさに「三方よし」を達成している。平均7カ月に1回しか歯の検査を受けない米国民にとっては、とてもありがたい製品だといえる。

 加えて、歯ブラシという製品の性質上、ほぼ確実に毎日利用されるので,日々ユーザーから膨大なるデータが取得され、ビッグデータを蓄積することで2次的なビジネスにつなげることも可能になる。既存の日常アイテムに最新テクノロジーを注ぎ込むことで、新しいビジネスモデルを作り出すという、まさに最近のトレンドを代表するようなデバイスだといえる。これからもより多くのデバイスにより、医療業界に大きな変化が訪れるのは間違いない。

[日経産業新聞2014年5月27日付]

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