針に入る極細内視鏡 「福島育ち」、患者負担軽く

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2014/5/26 7:00
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直径が実に0.65ミリ――。針の中に差し込んで体内を観察できる極細の内視鏡を開発したのが住田光学ガラス(さいたま市)だ。内視鏡が細ければ細いほど針を細くすることが可能で、腎臓結石などを治療する際に患者の負担を軽減する。同社は1966年に光ファイバー事業に参入。女性の髪より細い製品や微細なレンズ技術を進化させ、他社が追随できない医療機器を開発した。工場がある福島県では、医療機器産業の集積を再生可能エネルギー関連産業の育成と並ぶ産業復興の柱に位置付けている。磨き上げた技術力は福島県への産業復興への貢献も期待されている。

■体内の細部を直接視認

直径0.65ミリ。光を照射しながら観察できる

直径0.65ミリ。光を照射しながら観察できる

一般の内視鏡は口や肛門から差し込み、主に消化器を観察する。これに対して住田光学ガラスが開発したのは別のカテゴリーの製品だ。例えば比較的大きな腎臓結石を取り除こうとする際、体外からの衝撃波では破砕しきれない。結石があるところまで針を差し込んで小さな穴を開けて抜き取り、代わりに少しずつ大きなカテーテルを差し込んで穴を広げ、結石を鉗子(かんし)やレーザーなどで砕いて取り出す。ここで役立つのが微細な内視鏡だ。

医師は磁気共鳴画像装置(MRI)や超音波診断装置などを見ながら、最初の針を結石まで到達させようとするが、結石の形や重なり具合を正確に把握しきれず、患者の負担を増すことがある。針に住田光学ガラスの内視鏡を組み込んで、先端部を観察しながら差し込めば、到達の度合いなどを正確に把握できる。「患者への負担を軽減し、治療部を視認しようとする最近の医療の流れに乗った取り組み」と田島工場(福島県南会津町)工場長の高野和之取締役は解説する。

気管支内の痰(たん)を吸引するチューブとの一体化も実現した。痰の場所を確認できるので安全性が高まる。2011年の介護保険法の改正によって、従来は医師や看護師にしか認められていなかった痰の吸引が介護福祉士もできるようになったので「いっそうの需要拡大が見込める」(高野工場長)という。

■直径0.65ミリ、注射針より細く

直径0.005ミリの光ファイバーを緻密に重ね合わせる

直径0.005ミリの光ファイバーを緻密に重ね合わせる

住田光学ガラスの内視鏡は直径がライトも合わせて0.65ミリ。一般の注射針の太さが0.9~1.25ミリ程度。これより細い針の中にも仕込める細さだ。レンズの直径は0.35ミリにすぎない。それで1万画素の精細度を実現した。極細なのに高性能な医療機器を開発できた要因はどこにあるのか。1966年に光ファイバー事業に参入し、レンズも含めて材料から最終製品の組み立てまで一貫生産してきた技術の蓄積だ。腎臓結石の治療向けの内視鏡は岡山大学医学部、痰の吸引向けは慶応大学の医学部と連携して開発を進めた。

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