2019年7月22日(月)

サウジが石油を輸入する日 日本勢、代替エネに商機
編集委員 松尾博文

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2014/4/1 7:00
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中東に原油輸入の8割超を依存する日本。紛争やテロでこれが途絶えたら――。繰り返し議論されてきた問題とはまったく違ったリスクが、日本の前に立ちはだかりつつある。正体は経済成長。産油国自体の人口増と成長によって原油の国内消費が急増し、世界最大の産油国サウジアラビアが輸入国に転じるシナリオすらささやかれるのだ。

■皇太子は安定供給を約束したが…

晩さん会でサウジアラビアのサルマン皇太子のあいさつを聞く安倍首相(2月19日、首相公邸)

晩さん会でサウジアラビアのサルマン皇太子のあいさつを聞く安倍首相(2月19日、首相公邸)

「たいへんでした。来日の順番にも気を使いました」。外務省関係者は振り返る。2月中旬から3月上旬にかけて、サウジのサルマン皇太子、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド皇太子、イランのザリフ外相が立て続けに日本を訪れた。

いずれも日本にとって重要なエネルギー資源の調達先だ。3カ国からの原油輸入量は日本の輸入量全体の約6割。エネルギー外交の最上位に位置付けられる国々だ。

なかでも最大の原油輸入先であるサウジのサルマン皇太子は80歳近い。2012年の皇太子就任後、近隣国を除くと事実上、初の外遊先の一つに日本を選んだ。「原油の安定供給を約束する」。安倍晋三首相との会談での皇太子の力強い言葉に関係者は胸をなで下ろした。

この約束はいつまで守られるのか――。というのも、サウジが原油を輸出できなくなるかもしれないからだ。

「38年までにサウジは石油輸入国に転落しかねない」(英王立国際問題研究所)

「30年までには輸入国になる可能性がある」(米シティグループ)

福島第1原子力発電所事故から3年。日本では原発を代替する原油や天然ガスの輸入が増え、中東依存度は再び高まっている。この間、世界ではサウジの大産油国としての将来に相次いで疑問が投げかけられている。

理由はサウジ国内の消費量の急増だ。

サウジ王族系の投資銀行ジャドワ・インベストメントよると、ガソリンなど石油製品を含む、サウジ国内の石油・ガス消費量は09年で日量320万バレル(原油換算)。10年で69%、20年で179%増えた。2000年代前半に年率4.8%だった増加率は、同後半には5.9%とペースが上がっている。

■原油の無駄遣いぶりが悪化

サウジの石油・ガス消費量は20年には日量590万バレルに、30年には同1060万バレルに増える見通しだ。サウジの原油生産能力は現在同1250万バレル。この消費傾向が続けば、国内需要だけで生産量を食いつぶしてしまう。

シェール革命により原油生産量が増える米国はまもなくサウジを抜いて世界最大の原油生産国になる見通しだ。しかし、国際エネルギー機関(IEA)のファンデルフーフェン事務局長は「中東で原油の増産投資が正しく実行されなければ、世界は深刻な問題を抱える」と警告する。

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