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原発・エネ問題、語り合う女性たち 海外と連携も

編集委員 安藤淳

原子力発電をはじめとするエネルギー問題を女性や若者が先導役となって考え、情報発信する動きが広がりだした。自発的に様々な集いを開いたりインターネットを活用したりして、本音で語り合える場を提供する。こうした草の根的な活動は感情に走らない冷静な議論にも役立ちそうだ。

英での経験・意見、フェイスブックで発信

「エネルギーミックスをどうすべきか。みんなが前向きに明るく話している」。青山学院大学4年生の鍋島勢理さんは昨年、英国留学した際に人々がごく当たり前に、原発やエネルギーを話題にしているのに驚いた。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け「FUKUSHIMA」の知名度も想像以上だった。

日本の大学では原発のような複雑で重いテーマで学生が普段雑談することはほとんどない。もっと議論の場をつくれないか。そこでフェイスブックを使って英国での経験や意見を発信し始めた。

帰国後、他大学の学生も誘ってエネルギー、国際情勢、ビジネスなどを考える「日本の明日を考える女子学生フォーラム」を結成。なかでもフェイスブックに投稿した時の反応が大きい原発・エネルギー問題を活動の柱に据えた。

フォーラムで頻繁に顔を合わせるメンバーは6人。少数だがフェイスブックの公式ホームページに寄せられた「いいね!」は8000件近い。「再稼働問題などにコメントしてくるのは大部分が中高年の男性。肝心の女子学生が少ないのが悩み」だという。

知人のつてをたどり、勉強会の講師には英国のバーバラ・ジャッジ前原子力公社会長や日本エネルギー経済研究所の田中伸男特別顧問らを招いた。東電柏崎刈羽原発を訪問し、現地で母親や学生から再稼働への考え方を聞き取るなど、情報収集にも力を入れる。

「女性の目線で一緒に課題を考えたい」

組織だった動きもある。その一つが原子力や放射線関連の仕事をする世界の女性らで構成する非営利組織WiN(ウィメン・イン・ニュークリア)グローバルだ。英国に本部を置く世界原子力協会が事務局を務める。日本支部のWiNジャパンは原発を抱える地域の大学で、女子学生や住民らとの交流会を開催。特に福島第1原発事故後は、放射能が健康に与える影響などの疑問に丁寧に答えようとしている。

今年8月には日本原子力学会が福島県で開く女性の視点をテーマにしたシンポジウムにも協力する予定。「母親が子どもへの放射能の影響などを心配するのはよくわかる。女性の目線で一緒に課題を考えたい」と、WiNジャパンの布目礼子会長(原子力発電環境整備機構課長)は語る。

原子力学会が3月に開いた春の年会では、WiNジャパンのメンバーらの家庭・職場での1日や子育てと仕事の両立などを紹介した「ロールモデル集」を配布。興味をもってもらおうと登場人物が直接、学生らの質問を受けた。

もちろん、原子力業界や特定企業がこうした組織の陰で、原発再稼働への賛成を強要したり学生の採用で抜け駆けしたりすれば一気に信頼を失う。あくまで偏りのない自主的な活動が前提だ。

英国のジャッジ氏は「教育を受けた女性ほど原発に批判的な傾向がある」と指摘する。そうした厳しい目が原子力やエネルギー関連企業に注がれるのは「意味がある」との主張にはうなずける。

[日経産業新聞2014年6月19日付]

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