2018年8月19日(日)

スマホ普及で契約数は激減? ネット生保の想定外
出口治明・ライフネット生命保険会長兼CEO

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2014/7/26 7:00
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 ところが、昨秋のアンケートでは、その比率が2割以上低下していたのである。このようなお客さまの変化(保守化)は、何故生じたのだろうか。

 一つの仮説は東日本大震災である。生保業界はセールスパーソンを総動員して現場に入りお客さまの安否を確認した。当社も社員総出であたり、1カ月で100%安否確認を成し遂げた。大臣にも「生保はよくやった」と褒めていただいた。

 このことが「セールスパーソンがいた方がいざという時に安心だ」というイメージを広く植え付けたのではないか。

 もう一つはスマートフォン(スマホ)の普及だ。開業時にはスマホはゼロだった。当然のこととして当社は「お客さまはパソコンで保険を申し込む」と想定してシステムを構築した。パソコンなら普通の場合は約15分で申し込みが完了する。

 ところがスマホは画面が小さいため、40分前後かかってしまう。面倒なので途中で止める人が続出する。そうすると同じ数のお客さまが当社のウェブサイトを訪れたとしても、パソコンがスマホに置き換わるだけで契約数が4分の1以下に減ってしまうのだ。正直、開業前にはこのようなデバイスの急激な変化は想定ができなかった。

 以上、当社の実例を挙げたが、お客さまの意識も技術も日々進化し変化し続けているのだ。ダーウィンの進化論ではないが「強いものや賢いものが生き残るのではない。変化に対応したものだけが生き残るのだ」というのが世の実相である。

 そして、経営とは、まさにそういった社会の変化に対応していく適応活動そのものである。わずか6年の経験しかないが「世の中にはうまいやり方などどこにもない、あるのは、当たり前の真実と愚直な努力の継続のみである」ということを教えられた気がする。

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