アップルも注目 世界基準の農園、ITで安全管理

(1/2ページ)
2014/7/8 7:00
保存
共有
印刷
その他

次々とニンジンがベルトコンベヤーで運ばれ袋詰めされる。30人ほどの従業員を抱える熊本県益城町の松本農園。全国どこにでもある野菜出荷の光景だが、多くの国内農家と異なるのは、世界基準の農産物規格を満たしていることだ。

■全国15農家にシステムを提供

コンベヤーに載ったニンジンが次々と袋詰めされる松本農園の出荷場(熊本県益城町)

コンベヤーに載ったニンジンが次々と袋詰めされる松本農園の出荷場(熊本県益城町)

環境保全や衛生管理を確保するため、松本農園はタブレット(多機能携帯端末)などを駆使し「世界標準」を担保する仕組みをつくり、北海道から奄美まで15の農家に同じシステムを提供する。海外進出も見据えた動きに、国内大手企業が関与を始めているほか、米アップルも関心を示している。

6月、松本農園の元取締役、松本武氏はアップルの担当者と都内で会談した。現在、松本農園が使うタブレットの基本ソフト(OS)は米グーグルのアンドロイド。アップルは国内では未開の農業分野にどれだけ可能性があるのか。将来性を探っているようだったと松本氏は感じた。

アップルと松本氏をつないだのは意外な名前だ。JR西日本。4月に松本さんが社長を務めるファーム・アライアンス・マネジメント(東京・千代田)に46.7%を出資した。業務でアップル端末を使うJR西が両社の橋渡し役になったという。

国内の農業を巡っては、悲惨なデータが並ぶ。農業就業人口は5年で2割以上減ったほか、担い手の平均年齢は66.2歳。高齢化が行き着くところまで来ている。先が見えない産業に見えるが、国内外の大手企業が関心を寄せるのはなぜなのか。

■作業内容をデータ化し登録

松本農園の農作物の栽培は特別なことをしているわけではない。一定程度の農薬も使えば、化学肥料だって使う。糖度が高いなど付加価値を高めたり、加工を加えたりして単価を引き上げているわけでもない。作るのは、日本国内どこでも売っている一般的な野菜だ。

違いはその管理のあり方にある。従業員はその日の作業を終えると、端末を使って、どの圃場でどんな作業をしたかを細かに登録する。いつ、誰が、どこで作業をしたかがデータとしてすべて登録してあるのだ。

袋詰めした商品には8桁の数字を記載する。最初の4桁が松本農園を示し、後ろの4桁は出荷日を記す。もし、事故品が存在しても、袋の数字と社内データをつきあわせれば、わずかな時間で回収対象の範囲を特定でき、原因究明もしやすい。

「国内産の農作物は安全」。そんな信頼が農作物の流通を支えてきた。しかし、外の目に国内での常識は通用しない。農産物の生育のあり方が確認できないことは、外資系の流通大手には食品事故が生じかねないリスクと見なされる。

  • 1
  • 2
  • 次へ

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]