国境越え夢追う 移民起業家が与える社会の活力
スタートアップスinUSA(6)

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2014/4/8 3:30
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 米国では起業家の4分の1を国外で生まれた"移民"が占める。その割合は過去10年で10ポイント近くも増え、社会に与える影響力が増してきている。海を渡り、勝負をする動機や背景は人さまざま。移民社会が生み出すダイバーシティ(多様性)は米国発のビジネスのダイナミズムの源泉だ。

ニューヨークでスマートフォン用英会話アプリ「OKパンダ」を提供するアダム・グリス(33)はエルサレム生まれのイスラエル人だ。3年の兵役を務めた後、留学で渡米し、そのまま米国に根を張った。

■「チウネ」との縁

イスラエル生まれのグリスCEO

イスラエル生まれのグリスCEO

グリスには忘れられない日本人がいる。「東洋のシンドラー」。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツによって迫害を受けた6000人のユダヤ人を査証(ビザ)発給で救った日本人外交官、杉原千畝(ちうね)だ。

グリスの祖父はベラルーシ生まれのユダヤの詩人だった。移動を阻まれた祖父にリトアニアでビザを発給したのが杉原。「チウネがいなければ、僕はここにいなかった」と目を細める。15歳の時に訪れたドイツでの数週間の経験がグリスを変えた。「ドイツには正直、わだかまりがあったが友達もでき、世界はオープンだと知った」

OKパンダは昨年12月、日本向けにチャットアプリのLINEを使う英会話サービスを開始した。国境の壁を取り払おうとオンライン語学教育に心血を注ぐ。

韓国で育ち10歳で米国に移住したカーンジャナプラコーンCEO

韓国で育ち10歳で米国に移住したカーンジャナプラコーンCEO

同じくニューヨークに拠点を持つオンライン教育のスキルシェア。CEO(最高経営責任者)のマイケル・カーンジャナプラコーン(31)は韓国人とタイ人のハーフだ。スキルシェアは月額約千円で、IT(情報技術)やデザイン、経営など専門領域の一流講師の授業が受け放題になる。

韓国で育ち、10歳の時に家族そろって米国に移住した。15歳の誕生日に「仕事がしたい」とねだり、タイ人の父と韓国人の母を驚かせた。「移住の理由は子供の教育。両親は(教育熱心な)典型的アジア人」と笑う。

米国では学費が高く、学生ローン地獄に陥る大学生の苦労話が絶えない。財政難で教育システムが崩壊し、治安が悪化する都市も目の当たりにしてきた。移住の理由が教育だったからこそ「手に届く高等教育を実現したい」という思いが起業へと突き動かした。

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