鉄道・バス、値上げに地域差 首都圏は「二重運賃」
国交省、消費増税分を認可

2014/3/5付
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国土交通省は4日、4月の消費増税に伴う鉄道やバス事業者の運賃の引き上げ申請を認可した。対象は全国の鉄道とバスの256事業者。このうち首都圏を中心とする49事業者は、ICカードに限って1円刻みの運賃設定を認め、現金運賃は従来通り10円単位で転嫁する「二重運賃」になる。地域によって事業者の対応にばらつきが出た。

消費増税に伴う運賃引き上げの例
(首都圏の上段はICカード、下段は現金)
地域事業者区間現行
(円)
4月
以降
(円)
北海道JR北海道札幌―小樽620640
首都圏JR東日本東京―新宿190194
200
東京メトロ渋谷―銀座190195
200
都営バス都区内均一200206
210
小田急電鉄新宿―新百合ケ丘300308
310
京浜急行電鉄品川―京急蒲田190195
200
京王電鉄渋谷―吉祥寺190195
200
東京急行電鉄渋谷―横浜260267
270
東武鉄道池袋―川越450463
470
中部JR東海名古屋―金山160170
名古屋鉄道名鉄名古屋―豊橋10801110
関西JR西日本大阪―京都540560
大阪市営地下鉄梅田―心斎橋230240
大阪市営バス市内均一200210
阪急電鉄梅田―神戸三宮310320
中国広島電鉄市内線均一150160
九州西日本鉄道西鉄福岡―大橋200210

「事業者に(利用客への)周知や丁寧な説明に万全を期すよう求めていく」。太田昭宏国土交通相は4日の記者会見で、同一区間の二重運賃の発生などで利用者に混乱が生まれないよう対策を求める考えを示した。

国交省が二重運賃を容認したのは、消費税の適正な転嫁と乗客の利便性という両面でバランスを取った結果といえる。

1円刻みは増税分をより細かく運賃に反映できるのが利点だ。一方、券売機での切符販売も1円刻みにすると、小銭の扱いなど利用者の煩雑さが増す。折衷案としてICカードは1円刻み、現金払いは10円単位とすることを認めることにした。原則としてICカードの運賃は現金より安いか同額とするよう求める。

4月に二重運賃を導入するのは、ほぼすべてが首都圏の事業者だ。東日本旅客鉄道(JR東日本)や首都圏の私鉄では、ICカードに限っては1円刻み、現金運賃は10円刻みとなる。JR東日本ではSuica(スイカ)などICカードの首都圏利用比率が8割超に達しており、二重運賃となってもICカード運賃を導入したほうが利便性が高いと判断した。

4日記者会見したJR東日本の冨田哲郎社長は「同じ区間で2種類の運賃になり周知へ案内や掲示が必要。ポスターやテレビCMなどで情報提供を徹底する」と話した。

一方、首都圏以外では10円単位での転嫁となった。関西圏のICカードの利用割合は鉄道、バスともに約4割にとどまる。地方都市ではさらに低い。10円単位で上がる現金払いの人との不公平感を避けるため、運賃が一部安くなるICカードでの導入を軒並み見送った。

西日本旅客鉄道(JR西日本)は消費税率が10%に上がる段階での対応をまだ決めていないが、今回と同様に運賃を10円単位とする方向だ。関西私鉄でも「IC普及率が上昇しなければ、今回と同じ対応になる」(阪急電鉄)、「検討中だが、利用者の不公平感に配慮する」(近畿日本鉄道)としており、いまのところ1円刻みの運賃を導入することに消極的だ。

ICカードの普及率が高いために、首都圏で先行する二重運賃。鉄道各社は周知徹底に努める構えだが、いざ導入されると混乱が生じる可能性もある。全国に同様の動きが広がるか、まずは首都圏が実験場となる。

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