2017年12月16日(土)

中国SNS最大手テンセント、東南アでLINEと激突

2014/5/15付
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 中国の交流サイト(SNS)最大手、騰訊控股(テンセント、広東省)が東南アジア市場に踏み出した。同社は14日、この一年で対話アプリの利用者が倍近い4億人になったと発表。ゲームや通信販売なども含めた総合力を使い日本のLINEも上回る勢いだ。ただその成長力は海外業者を閉め出す中国政府のインターネット規制の中で培われた面もある。中国のネットの巨人は世界競争で勝ち残れるか。

時価総額12兆円

 騰訊が14日発表した2014年1~3月期の売上高は、前年同期比36%増の184億元(約3千億円)。純利益が60%増の64億元と好調だった。香港証券取引所に上場する同社の株式時価総額は12兆円超。中国検索最大手の百度(バイドゥ、北京市)を超えアジアで上場するインターネット企業でトップだ。

 騰訊の馬化騰最高経営責任者(CEO)は次の狙いを定める。3500万人の中国系住民を抱え、中国と経済関係が密接な東南アジアだ。すでに主力の対話アプリは若者に浸透しつつある。

 マレーシアのアルミ缶工場の経理担当者、エリック・シューさん(32)は騰訊の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を会社内の業務連絡に使っている。スマホで短い文章や音声を簡単に送れるため電子メールから微信に変えた。「業務と関係のない写真も送り合っているよ」と笑う。

 インドネシアの女子中学生、タニアさん(14)は「大勢の友達と同時におしゃべりできる」と評価する。「メッセージに添えるイラストがかわいい」とLINEも利用するが、使い勝手は微信に軍配を上げる。

 微信は友人と文章や画像で日々の出来事や感想を書き込んだりできるスマホ用ソフトだ。SNSの実際の利用規模を示す指標として使われる月間利用者(月に1回以上利用)は3月で3億9580万人。米フェイスブックが190億ドル(約1兆9千億円)を投じて買収した米ワッツアップの5億人に次ぐ世界2位だ。

テンセントを率いる馬CEO(右)と劉総裁(3月、香港での2013年12月期決算会見)

テンセントを率いる馬CEO(右)と劉総裁(3月、香港での2013年12月期決算会見)

 無料のSNSで囲い込んだネット利用者に対し、ゲームや動画、通販など多彩なネット関連サービスを提供して、料金収入や広告収入を得るのが騰訊のビジネスモデル。13年の売上高は前年比38%増の604億元と1兆円に迫った。このうち53%がゲーム、16%が通販、8%が広告だ。

 14日の決算会見で劉熾平総裁は「成長のカギは東南アジアだ」と強調した。インドネシアでは13年にメディア大手グローバル・メディアコムと合弁会社を設立し現地ニーズに合わせた事業を進める。

 海外の低い知名度を改善しようと、サッカーのスーパースター、リオネル・メッシ選手を起用したCMなどを展開する。海外での微信の宣伝にすでに2億ドルを投じた。

4億人のLINE上回る

 スマホにソフトを取り込み、利用登録をした登録者ベースでは微信は13年秋に6億人を突破。微信と同じ11年にサービスを始め、4月に4億人に達したLINEを上回る速さだ。6億人のうち海外は1億人。マレーシアやフィリピン、インド、メキシコで利用者が伸びてきたという。

 騰訊の成長は中国が共産党支配を揺るがす情報が流れるのを恐れ、フェイスブックなど海外の有力サービスを通常の通信回線で利用できなくしてきた影響も大きい。海外市場では政府の保護政策がないため、本当の実力を試される。中国という基盤を生かした事業展開を進める騰訊。LINEと韓国カカオトークを含めた三つどもえの利用者争奪戦は激しさを増しそうだ。

(広州=桑原健、クアラルンプール=CK・タン、ジャカルタ=渡辺禎央)

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