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給料減っても海外で転職、希望者が増える理由は

海外への転職希望者が高収入層にも広がりつつある。駐在員経験者などが、日本勤務と比べて給与水準が低い現地採用の求人に応募する例が増えている。日系企業が人員増強に動くシンガポールや中国では、経済成長に伴い現地の給与水準がここ数年で大幅に上昇。一方、国内にとどまっていては収入増が期待できないとの閉塞感が広がっている。「日本脱出」の動きがリタイア層だけでなく働き盛りにも及んできた。

日本に戻っても生活を維持できない

ジェイエイシーリクルートメントが開催した海外転職説明会(11月中旬、東京都内)

人材紹介大手のジェイエイシーリクルートメント(東京・千代田)が11月中旬に都内で開いた「海外就職相談会」。あいにくの雨にもかかわらず20代後半から30代半ばを中心に約150人が参加した。担当者は「従来と比べると収入が高めの層の参加が目立った」と指摘する。

同社のシンガポールや中国の拠点では、日本勤務より給料が下がる現地採用でも構わない、と域内での転職を希望する現地駐在員が最近増えている。「日本に戻っても今の生活水準を維持できないと考えている」ためだ。同社が海外駐在員経験者に対して実施したアンケートでは86%が日本勤務より給料が下がる日系企業の現地採用(日本人待遇)を許容すると回答。給料がさらに安くなる現地人待遇でも37%が許容すると答えた。同社は「驚くべき数字だ」と指摘する。

伸びる給料が魅力

背景には現地採用の給与水準の上昇がある。日本企業が東南アジアの統括拠点を設けることが多いシンガポールの求人相場は、30歳前後の営業職や事務職で現在月収約4000シンガポールドル(1シンガポールドル=約60円、約24万円)。日本貿易振興機構(JETRO)が日系企業の現地採用者を対象に実施した調査では製造業のマネージャー(営業担当課長クラス、大卒以上、実務経験10年程度)の月額基本給は8月時点で4300米ドル(約33万5000円)で、ドルベースで2008年10月比37%上昇した。

中国でも上海や北京では30代後半の管理職が月収約2万~2万5000元(1元=約12円、24万~30万円)。2年前の1万5000元程度から大きく跳ね上がっている。

一方、日本の給与は下がっている。厚生労働省の調査によると、転職適齢期の30歳~34歳の所定内給与(決まって支給する給与から時間外手当などを引いた額)は2010年が月額30万9900円(男性、大学・大学院卒)。06年から4年連続で下がり、3%(9800円)安くなった。35歳~39歳は37万3500円(同)で、06年より7%(2万7600円)安い。アジアを舞台にチャレンジしようと考える若手営業職などが増える呼び水になっている。

語学力や専門性が必須に

もっとも、海外転職のハードルは上がっている。シンガポールは外国人の労働ビザ取得条件を厳しくする方針。中国も外国人の保険加入を新たに義務付け、日本人雇用の負担が重くなる。日系企業の現地採用といえども「語学力や専門性がなければ日本人というだけでは転職は難しい」というのが関係者の一致した見方だ。

(商品部 田上一平)

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